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第9話

「あれ、早起きだね」 「おはよ」 「うん、おはよう」  ベッドから出ようとすると、目の前にぺらりと紙がつきつけられる。 「なに……借用書?」 「そう。だからお金貸して」 「……女の子と寝ないって言う誓約書も書いておいて」 「はいはい」  まさか、こんな理不尽な条件を飲むとは思ってもみなかった。  誓約書を確認して財布から金を抜いた。 「言っておくけど、俺は君のお姫様よりも、君よりも薄給だからね」 「わかってるつもり」  つもり、という言葉がひっかかって手取りの給料を口にする。 「本当に?」 「本当だよ」 「マジ……」 「誓約書も借用書も捨ててもいいよ」 「……捨てない」 「じゃあ、三ヶ月よろしく。あ、えっちは俺が挿入れるなら休みの前じゃなくてもできるよ」 「……男同士ってなんか便利だな……」  なぜか首筋がうっすら赤くなっている。そんなにウブでもないだろ、と思いながらお金を渡した。
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