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第25話

 朝も近くなった頃、酒にやられた俺の頭は恋人のお尻をどうにかこうにかするということしか残っていなかった。もっちりと柔らかい白い尻にあんなことやこんなことを。  黄色いレジ袋を手に上機嫌で家に帰ると、歓楽街No. 1ホスト様は心底嫌そうな顔で迎えてくれた。 「すぐくん、おかえりー!」 「おかえりはこっちの台詞だけど」 「あれ? ほんとだね」  家に帰るなり、ソファで人の酒を飲んでいる男に飛びついた。  さっと避難したグラスの中は琥珀色の液体で満たされていた。  俺が大事に飲んでいたちょっと高めのウイスキーだろう。この家にウイスキーはそれぐらいしかない。 「きょーは、すぐるくんをとろとろにしたいと思います!」 「……酔っ払いはとっとと寝るんだな」 「よっぱらってるだけだから!」  嫌そうな顔をしながらも、膝の上に乗った俺をどかそうとしない。  それどころかコートを脱がせてくれる。  調子に乗ってへらへら笑いながら服の中に手を突っ込んだ。 「うわ、何の嫌がらせ」  手の冷たさに驚いた傑が睨んでくる。俺が乗っているせいで、上目遣いになっている。今日も絶好調なまつげに満足して、額にキスをした。 「よいしょ」  スウェットのウエストに手をかけて無理やり脱がそうとする。 「寝ろよ……」  文句を言いつつも、腰をあげて協力してくれる。ついでに上も脱がせる。  傑はされるがままである。 「よし、次はお風呂だよ」  手をつないで脱衣場に向かう。 「優は? 脱がないの」 「脱がせてくれたら脱ぐ!」  思いきり両手を上にあげると、苦笑しつつも脱がせてくれる。  ぽいぽい、と洗濯機に俺の服が放りこまれていく。  先に風呂場に入ってシャワーヘッドをくるくる外していると、傑が背中に張りついてくる。脇腹をさする仕草が甘えていることに気がついたのは最近だ。 「今日は俺が下?」 「やだ?」 「いやじゃないけど……」 「ちんこ使った後におしりできもちよくなれるのって贅沢じゃない?」  傑の表情筋がぴしりと石のように固まった。 「今日はすぐくんが下です」  傑は後に語る。あんなに恐ろしい笑顔は女にも向けられたことがないと。

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