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第27話
俺がおしりを解していると、傑はもぞもぞと愛撫している。
ネコをやるときはまぐろ気味だから、珍しいなと思っているとしきりに胸のあたりを触れている。
まるで乳首を触るのを我慢しているかのような指の伸び方だ。
「ちくびにさわりたい？」
「な、なんか絶対おかしい……しり、触られるとむずむずする……」
乳首イキの余韻のせいだろうか。
かわいそうなので傑の手をとって、乳首まで導いた。
ほっそりとした指が乳首をつまんだのを見届けて、おしりをとろとろにすることに集中する。
「……そろそろはいりそうだね」
そう言ったとたん、きゅ、とナカが俺の指を締めつける。
期待しているのがかわいくて、耳たぶに口づけてから、ベッドの端っこに放り投げていた黄色い袋を手繰り寄せた。
取り出した大人のおもちゃをみた瞬間、傑がおえ、と舌を突き出した。
人工的なピンク色、模された亀頭はでっぷりと張っている。
試しにスイッチを入れてみると、ぶるぶると手の中で振動し始める。
「えっぐ」
「俺がいないとき、もしかしたら欲しくなっちゃうかもでしょ」
「……はぁ？」
「女の子のところにいればよかったのに、俺のとこにきたのは、物足りなかったからじゃないの」
「そんなことは……」
ほそい指がそわりと動く。
所在なさげに俺の腕を掴んで、ぐるぐると考え込んでいるようだ。
その間にバイブにゴムを被せ、ローションを纏わせた。
慣らした穴に先端を押しつけると、ぬるりと飲み込んでいく。
自分のものが飲み込んでいく様を思わず想像して唾を飲み込んだ。
酒でいまいち勃っていなかったものがむくりと目を覚ます気配がした。
「ん、ぐぅ、あっ」
ぬるん、と亀頭が入った。圧迫感にうめいたと思ったらきもちいいところにあたったらしい。
「すぐる、手止まってるよ」
俺の腕にしがみついている傑の手を乳首に導いた。おずおずとつまんで転がし始める。
「やらしいね」
バイブを抜き差しするたびに、おしりからぐちゃぐちゃと下品な音が聞こえる。
指を添えたあなは、おもちゃを食むように時折収縮している。
ときおりというのはおもちゃがイイトコロを掠めたときと、傑が乳首できもちよくなったときだ。
「や、も、これもきもちいけど、優ちゃんのほし……」
泣きそうな声で喘ぎながら、後頭部を肩にぐりぐりと押しつけてくる。
「んー、そうかあ」
「ゆーちゃん、おねがい……」
顔だけ振り向くと、ちゅ、ちゅ、と顔の輪郭にキスをしておねだりされる。
あまりのかわいさに今すぐ「うん」とうなずいてしまいそうだが、もうちょっとおねだりされたい。
顔だけだったのが、体ごとねじって俺の顔を手で包み込んでくる。
その拍子にバイブのあたる位置がかわってきもちよかったらしい。
甘くあえぎながら鼻やらほっぺを甘噛みしている。
「ゆうががんばって準備した穴だよ。いれたくないの？」
「いれたい」
「今ならとろとろだよ」
八百屋のような口調に笑ってしまう。
傑は気をよくしたようで、にこにこしながらキスを降らせている。
「いれてもいい？」
「どうぞ？」
ふふ、とおかしそうに笑って首を傾げている。うつくしい顔はずいぶんと快感で火照っていた。
「どうしよう、傑が女の子抱けなくなっちゃったら」
「それはない」
「そう……」
顔が見たくて、向かい合わせに座らせた。
ゴムをつけながら今後も浮気する未来を示唆されても、俺のちんこは萎えそうにない。
「妬いた？」
焦らされた腹いせなのか、あなに擦りつけて遊んでいる。
にやにやして煽っているが、本当はいれたくて仕方がないのが見てとれる。
「妬いたからいれてくれる？」
したたりそうなくらい赤いほっぺをふにふにしながらお願いをする。
濡れてつやめいた舌が唇をぺろりと舐めると、亀頭が熱くてやわらかい中に飲み込まれた。
さっきまで散々慣らした中はとろとろのぐちゅぐちゅで、いい具合に締めつけながら奥まで迎え入れてくれる。
深く息をしながら快感を逃しているが、目の焦点がいまいちあっていない。
あとちょっとで奥の傑が大好きなところにあたるが、自分で自分に止めを刺すのを躊躇っているようだ。
腰を揺らして促すと、気持ちよさそうに唸りながら上下に揺れ始める。
「すぐる」
「いやだぁっ、きもちよすぎるのはやだっ」
「でもすぐくんの中は、奥まではめてほしいってきゅんきゅんしてるよ」
とんとん、と軽くついてあげると傑の膝から力が抜けた。その拍子に一番奥まで入った。
「あああぁッ！」
甘く悲鳴をあげてくたりと凭れてくる。腹のあたりに生温い液体がぶちまけられ、ナカがきゅううと締めつけられる。
思わず達しそうになって奥歯を噛み締めて耐える。
「うっ……」
「きもちかった……」
耳元で熱い吐息と一緒に囁かれて、ぎゅん、とちんこに血が集まる。
「かたなくなった」
嬉しそうに笑っているのがかわいくて、ナカから抜いてベッドに押し倒した。
「ところてんしちゃったの？」
「んっ……」
濡れてくたりとした傑のちんこに触ると、きもちよさそうに体をくねらせた。
触らなくてもイけるとは、なんてかわいい体だろう。
腹にぶちまけた精液をティッシュで拭ってぽいっとゴミ箱に投げ捨てた。
足を抱えてもう一度穴にあてがう。
きゅん、と穴が収縮する。白い肌をピンク色に染めて期待して震えている体を見下ろしながら、ぐぐぐ、と埋めていく。
「あぁぁっ……」
とろけるような声をあげて挿入れられる快感に甘えている。
とろとろと喘いでいる唇にキスをして舌を差し込んだ。
久しぶりに合わせる唇がきもちよくて弄り倒した。
あっという間にあふれた唾液をこくりと飲んでいるが、飲みきれなかった分が頬を伝ってシーツに垂れていく。
奥を突くと、榛色がいっそうとろける。
そんな顔で女の子を抱くの、と嫉妬が振り返す。
セックスするたびにお尻が疼いちゃえばいいのに。
「ん、イきそ……」
収縮するナカにつられるように快感が迫り上がる。
「ゆーちゃんっ、いっしょに、おねがいっ」
おいていかないで。だなんて。
迷子のこどもみたいに泣くから、俺は安心させるように口づけをして傑の昂りに手を伸ばした。先走りなのか精液かわからない体液でべちゃべちゃだ。
慣れた快楽に飛びつくように腰を揺らし始める。
亀頭をくるくると指先で撫でていると、突然肩を掴まれた。
「なんかクるっ、ちょっ、とまってっ、あぁっ！」
「わ、やばい」
ちんこがこれまでにないほど締めつけられて、視界がチカチカと点滅する。
汗が吹き出して、傑の肌に垂れていく。
滴る汗にすら反応している傑は、自分のものを扱いている俺の手を止めようとしてくる。
「もれる、もれちゃうからっ！」
喘ぎ泣いている傑の目元にキスをする。
「もらしちゃっていいよ」
「やだ、やめろって、ヒッ、あぁぁぁぁっ！」
手の内側でぶしゃっと水が迸った。
締めつけられたナカにつられるように俺も中で射精した。
ビク、ビク、と痙攣している腹を撫でて宥めると、絶頂で潤んだ榛色が恨めしそうに睨んでくる。
「ちょっと」
喘ぎすぎて掠れた声がセクシーだ。
ナカからちんこを抜いて、ゴムの口を縛ってゴミ箱に投げた。
ベッドサイドに用意していた水を手渡すと、気怠そうに手を伸ばした。
「あ、待って飲ませてあげる」
自分で一口水を飲んで口付けた。
俺の体温でぬるくなった水で少しずつ口の中を潤していく。
いやそうに顔を顰めていたが、飲むことに失敗したことを想像したのか大人しく嚥下している。
「なあ、さっきのって」
「おしっこじゃなくて潮だよ」
「潮……」
「女の子としてて心当たりないの？」
「……なんか今日、めっちゃ女の話してくるじゃん」
「そう？」
言われてみれば、今日の浮気を責めるみたいに何度も女性の話をしていた気がする。
しかし、それで傑が機嫌を悪くする理由がいまいちわからなかった。
「明日仕事じゃなかった？」
「そうだよ」
「仕事がある日はセックスしないって言ってなかった？」
「どっかの性欲お化けのおかげで体力ついたかも」
「セックスはスポーツっていうしな」
「もう一回お風呂入ろ」
「シないからな」
「わかってるって」
信憑性のない言葉の応酬にくすくす笑いながら、触れるだけのキスをする。
酔いはすっかり冷めていた。
今日も傑が俺とセックスをする理由はわからなかった。
セックスする女の子はたくさんいるのに、俺と恋人という関係を解消しないでいることも。
追及する勇気がないまま、年を越そうとしていた。
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