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救済

「アレク!もういい……もういいから、早く縄を外してくれ」 このままでは本当に殺しかねないとルースは焦って声を発した。別にガウリンが死のうがどうしようが関係ないが、何故かアレクが罪を背負うのを止めなければと思ったのだ。 「……ルース様」 ハッと我に返ったアレクはルースの元へ駆け寄り、繋がれた手を解いた。 「ルース様、お怪我はありませんか」 「大丈夫だ……それより、お前……血が……」 ガウリンを殴り付けたことでアレクの拳にも傷ができていた。 「こんな事、なんでもありません……それより、貴方が無事なら……」 「あぁ、この通り何ともない」 「良かった……」 アレクはルースを抱き締めた。その腕はかすかに震え、アレクがかなり心配していたことが伺える。何ともない、と言ったのはこれ以上アレクに心配をかけたくない、そう思ったからだ。ちらりとガウリンの方に視線をやると、ガウリンはどうやら気絶したらしく、ピクリとも動かない。 「アレク……すまなかった……忠告を無視してこんな……」 「何があったかは大体察しがつきます……ですが、やはり私の居ない所でこんなことになってるのは気が気ではありません……」 「すまない……」 「ルース様……?」 安心したからだろうか、今更になって体が震えてきた。やはり暴力で押さえつけられたり、変な薬を使われたりしたのが堪えのだろう。 アレクが来なければ今頃どうなっていたのか……考えるだけで吐き気と悪寒がする気がした。 だがそんなのとは裏腹に、身体はまだ熱を持ち続けていた。明らかに多量に使用された薬のせいだ。 「あ……っ、アレク……熱い……からだ……」 アレクにしがみついてこの燻りを解放してくれと懇願するルース。 何を求めているのか察したアレクは自分のジャケットをルースに着せ、無言のまま抱き上げた。

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