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本当の気持ち
「奥が良いのですか……っ?それとも……こっち……?」
1度己を半分ほど引き抜き、しこりの部分を刺激する。
どちらの刺激にもルースは口をパクパクさせながら嬌声を漏らすだけで答えることはなかった。どちらも比べられない程の快感を与えられる場所なのだ。
「答えては……下さらないのですか?」
もう一度耳元で囁くとルースはやっと言葉を発した。
「も……もっと……もっと酷くしてっ……アレク、アレクっ……おく、痒いのっ……ゴリゴリしてよっ……」
もっと奥を掻き回して欲しいと自分から腰を動かすルース。足の合間ではルースが動く度にペニスがフルフルと震えていた。
「ルース様……例え、貴方の命令でも貴方を傷つける様なことだけは出来ませんっ」
酷くして欲しいという言葉をアレクはどうしても受け入れられなかったのだ。
「い、いから……ぁっん、お、まえは……俺の言う通りにしてれば、いいんだっ」
いつもはあんなに何度も中に精を放ち感じていたのはどこの誰だと問い詰められれば、何も言い返せなくなる。
「そ、れは……」
アレクは突然、ルースの中から己を引き抜いた。
今までどんな事にも従ってきた事が仇となり、いくら言葉を並べてもルースには言い訳に聞こえるのだろう。
「どうした、何も言えないのか……?なら、言われた通りにしろ……」
「それは……ちがいます」
「……は?」
否定の言葉にルースは眉をしかめた。ここまで快感を高めておいて、行為が中断している事もありルースの表情は硬くなっている。
「私は確かにルース様の命じる通りにしてきました。ですが、それに私の気持ちがあってこそです」
「戯言か?」
「本心です。私は貴方を尊敬し、敬愛しております。イヤイヤ命令に従っていた訳ではありませんし、酷くしたり汚したいと思った事もありません。」
「なんだと?なら、何だと言うんだ」
「私は私自身で主人であるルース様を愛し、触れたいと思い触れています」
「…………」
なんとなくそんな気がしていて敢えて知らんぷりをしていたルース。アレクの本心をこんな時に聞くことになるなんて予想もしておらず、なんて返せばいいのか分からず黙りこくってしまう。
「主人に仕える身で有りながら、この様な感情を抱いてしまったことをどうかお許しください」
ただ想うだけで幸せなのだとアレクは言った。
「……そんなこと言われても、困る」
昔なら親や使用人から可愛がられていたが最近は下心のある奴か仕事を失わないように気を使うような人ばかりだった。なのにこうも真っ直ぐ想いを告げられて、戸惑ってしまう。
「本当なら……貴方を他の人達に触れさせる事だって我慢ならなかったんです。ですが、私は貴方の傍で一生を尽くしたい、そう思って自我を殺しておりました。貴方が望む使用人であればお傍に居られると……ですが、今日は、今日の事だけはどうしても許せなかった。誇り高き貴方があんな奴に汚されるのだけは……」
切羽詰まったアレクの態度。それが本心である事はどこからどう見ても分かる。
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