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出会い 第6話

 数日後。  ケガがすっかり治ったオレは久しぶりに職探しにやってきた。  実はあの次の日も職探しに行ったのだが、擦り傷とたんこぶが出来ていたオレの顔を見るなり「ケガが治ってから職探しをした方がいいですよ」とアドバイスされてしまったのだ。  もちろん、この数日の間もボケーっと過ごしていたわけじゃない。  求人情報誌やネットを使って職探しはしていた。  結果は……まぁ、良くないからまだ職を探してるわけで……    なりふり構わずに保育関係の求人は全て当たってみたが、男ということや、前回の職場をクビになった経緯の時点で断られてしまって、今回も全滅だった。  ハ〇ワの職員には、「辞めた経緯を馬鹿正直に話さなくても、少しぼかせばいいのでは?」と言われたが、保育園同士の繋がりがあるので、いくら誤魔化しても以前の職場に連絡して聞かれればバレるのだ。  仕方ないので他の職種を探してみることにした。  日雇い……これとかやってみるか……  適当な日雇いバイトの求人情報をいくつかコピーする。  コピー機に用紙を取りに行くと、誰かが先に用紙を取っていた。  数台が同じコピー機を使っているためこういうことはよくあるので、特に気にせずに携帯を見ながら後ろに並んだ。 「保育士の求人は探さないのか?」  自分に話しかけられているとは思わず無視していると、グイッと顎を掴まれて上を向かされた。 「何すんっ……って、おまっ……」 「ケガはもう治ったみたいだな。ところで、なぜこんな日雇いバイトばかり探しているんだ?」  目の前に立っていたのは、オレを誘拐犯扱いした男、由羅(ゆら)だった。  由羅は勝手にオレの顔を撫でてケガの痕を確認すると、ぴらぴらと用紙を振りながら問いかけてきた。 「は?っていうか、何でお前がこんなとこに……」 「質問に答えろ」 「って、それオレの出したやつかよっ。返せっ!」  由羅が持っている求人情報が、自分の出したものだと気付いて慌てて奪おうとするが、由羅がひょいっと手を上にあげた。  悔しいが、身長差があるので由羅が手をあげると届かない。  どうにかして取り返そうとピョンピョンしているオレを見て、由羅がため息をついた。 「ちょっと来い。ここだと他の人の邪魔になる」 「ちょ、おいっ!?どこに連れて行くつもりだよっ!!」  邪魔になると思うならさっさとその紙を返せよっ!  っていうか、そもそも何でオレはまたこいつに絡まれなきゃいけないんだ?  まだこの間のことを根に持ってるとか!? ***  由羅に引きずられるようにして外に出たオレは、そのまま由羅の車まで連れて行かれた。 「乗れ」 「嫌だっ!」 「いいから、乗れ!こんなところじゃゆっくり話ができないだろう!?」 「お前と話すことなんかねぇよ!」 「私はあるんだ。きみにとっても悪い話じゃないと思うぞ」  そういうと、有無を言わせず車に押し込まれた。  何なんだよもう!!今度は何のクレームだよっ!!  運転席に乗り込んできた由羅には目もくれず、不貞腐れた顔で窓の外を見る。 「以前も聞いたが、保育士を辞めた原因は何だ?」 「ぁあ゛っ!?」  またその話かよっ!何でこいつはそんなにこだわってるんだよ……  イラッとして由羅を睨みつけた。 「……んなこと……目つきが怖いだとか、言葉遣いが乱暴だとかって保護者からクレームが入ったんだよっ!お前もオレのことを見た目だけで誘拐犯だと決めつけたんだろうがっ!そういうこったよ!これで満足かよ。じゃあな!」  ガチャッ  オレがドアを開けようとした瞬間、鍵を閉められた。 「えっ!?ちょ……おまっ……開けろよ!!」 「話はまだ終わってない。今言ったのは本当か?」 「は?」  由羅は、困惑しているオレの顔を見ると、またため息を吐いた。    このっ……!ため息吐きたいのはこっちの方だっつーの!! ***

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