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ひとつ屋根の下 第22話
「ん……」
懐かしい夢を見た。
チビ共と身体を寄せ合って眠っていた頃の……
そうそう、みんなで寝たらこんな風にあったかくて……
オレはまだ夢から醒めきっていない状態で、無意識に温もりを求めて抱きついた。
抱きしめ返してくる腕が、思った以上に力強い。
あれ?こんなでっかいやついたっけな。
いつもオレが一番お兄ちゃんだから、しっかりしなきゃって……
まぁいっか……
いつもチビ共を包み込む側だったから、自分が包み込まれるのは少しくすぐったい。
でも何だか落ち着く……それに安心できる匂い……
「あ~の!」
「こら、莉玖。しぃ~!」
「お~!」
「いい子だからもうちょっとねんねしてて」
「パッパッ!あぁの!」
「ダメか、完全に起きたな莉玖」
ん?莉玖……?
聞き覚えのある声に、オレはガバッと起き上がった。
「ふぇ!?莉玖!?」
枕元の時計の針は五時を指していた。
一瞬、莉玖のお昼寝の時間にガチ寝してしまったのかと思って焦る。
「あ~の~!」
声のする方を見ると、莉玖がベビーベッドの中でお座りをしてこちらに手を伸ばしていた。
オレは莉玖が着ているパジャマを見て、首を傾げた。
ん?オレお昼寝の前に着替えさせたっけ……
「莉玖、おはよぉ~……って、あれ?オレなんでこんなとこにいるんだ?」
ようやく自分が由羅のベッドにいることに気付いた。
「起きたと思ったら、第一声が『莉玖』か」
キョロキョロしているオレのすぐ隣で、由羅が枕にもたれて苦笑していた。
「え?あ、由羅……あれ?オレなんで……もしかしてここで寝ちゃってたのか!?」
「そうだ」
「うわっ、す……すみません……」
急いで由羅のベッドから下りて、全力で頭を下げた。
ヤバい……これはヤバいっ!!
いくら何でも雇い主のベッドで寝るのはダメだろう!?
さすがに、由羅も呆れて……
「綾乃、何やってるんだ?」
「何って……」
恐る恐る顔を上げると、由羅は呆れるというより、起き抜けに全力で頭を下げているオレを不思議そうに見ていた。
「別にベッドはデカいから、綾乃が寝ても邪魔にならないぞ?」
「いや、そういう問題じゃなくて!その、けじめは付けなきゃいけないだろ!?」
「けじめ?」
「だって、お前は雇い主なんだから、雇われてるオレが雇い主のベッドで寝落ちすんのはダメだろっ!?」
「雇い主の私がいいって言ってるんだから、別にダメじゃないだろう?」
「……へ?」
「それより、まだ綾乃は自由時間だぞ。二度寝するなり自分の部屋に戻って着替えるなり好きにしろ」
「あ……はい」
由羅に叱られると思っていたので、拍子抜けした気分でとりあえず自分の部屋に戻った。
っていうか、何でオレ由羅の部屋で寝ちゃってたんだ?
昨日は確か……
昨夜のことを必死に思い出そうとするが、寝る間際のことは曖昧で覚えていない。
オレ、由羅に何か変なことしてねぇよな!?
まぁ、してたら部屋から放り出されてるか。
それにしても……
誰かと一緒に寝たのは久しぶりだ。
だからあんな懐かしい夢を見たのかな……
***
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