47 / 358

クリスマス 第47話

「こんなもんかな……後は、コレを莉玖と一緒にやって……あ、そうだ、クリスマスリースも作るか!リースは明後日にしようかな~……どんなの作ろうか……」  制作のヒントにと『クリスマス制作』で検索をかける。  いろんなクリスマス制作の情報に混じって、ちょっとエッチなサンタコスの衣装も出て来た。 「あ、この子可愛い」  画面を飛ばしかけて、モデルの子の顔がわりと好みだったので思わず手が止まった。  そういや……ここに来てから俺抜いてねぇな……  他人の家に住み込みで働くなんて初めてで、緊張してそういう気分になれなかったというのもある。  しばらく抜いてないということを自覚した途端、急にムラムラしてきた。  静かに扉を開けて由羅の寝室を窺う。  莉玖の泣き声がしていないのを確認して、しっかりと扉を閉めた。  もう遅いから由羅は寝てるだろうし……一回抜いて寝るか。 ***  年齢=彼女いない歴のオレにとって、セックスはもはやおとぎ話だ。  いつかは可愛い彼女をゲットして……と思っていた時期もあったが、中学高校と好きになった子に「綾乃くん言葉遣いが乱暴で怖い」「背が低いから一緒に歩くの恥ずかしい」などと噂されていることを知って、告白する前に玉砕するという何ともダサい結果に終わったので、正直なところ今は彼女が欲しいのかと聞かれると微妙だ。  せめて童貞で一生を終えるのだけは避けたいと思いつつも、そういうお店に行って筆おろしをするだけの余裕などない。  今の仕事でお金が貯まれば……一回思い切って行ってみようかな……と思わんでもないが、ソロ活動でも十分気持ちいいので、もういいかなと思ったり…… 「っは……っ」  あ、そろそろイきそ……  手の動きを速めようとした瞬間、ふと視線を感じて顔を上げた。 「……え?」  たっぷり30秒程、いや、もっと長かったかもしれない。  オレは自分の股間を握ったままその場で固まった。  視線の先には、オレの雇い主であり、この家の家主でもある由羅が立っていた。 「え……っと……由羅……?」  オレはゴクリと唾を飲み込んで、ようやく言葉を絞り出した。 「ん?」 「あの……し、閉めて?」 「あぁ、そうだな」  由羅はオレの言葉でようやく扉を閉めた。  が、 「なんでお前が入ってきてんだよ!?」 「私のことは気にするな。続きをしていいぞ?」 「いやいやいや、おかしいだろっ!?ここはお前……見てないフリをしてそっと扉を閉じて出て行くのが優しさっつーかマナーじゃねぇの!?」  オレは由羅にツッコミながら、急いで服を着た。  別に男同士だし!?  ソロ活動すんのは生理現象だし!?  見られたところでどうってことねぇけど……  でも、ここは由羅の家だし……雇い主だし……やっぱマズイ……よな? 「綾乃はいつもこんな夜中に一人でしてたのか?」  由羅はパニクっているオレのことなど気にも留めずに隣に座った。  えええええ……この状況でオレの横に座るこいつの神経がわかんねぇ……何考えてんの!? 「……だよっ……」 「なんだ?」 「初めてだっつってんだよっ!!」 「初めて?」 「ここに来てからさっきのが初めてだったの!他人の家だから遠慮してて……ずっとしてなかったから一回ヌこうと思っただけなのに……」 「そうなのか。それは悪いことをしたな」  全然悪いことをしたと思っていない顔で由羅が謝る。 「で、何の用だよ?」  落ち着け。別にプライベートタイムに一人でしてたからって由羅に咎められる筋はない。  大きく息を吸って、なんとか心を鎮めようと努力しながら話しかけた。 「何が?」 「お前だよ!何か用があったから来たんじゃねぇのかよ!?」 「いや、別に用はない。ただ灯りが見えたからまだ起きているのかと思って様子をな……まさか自慰行為(そんなこと)をしてるとは思わなかったから……すまなかったな」 「何だよそれ!あ~もぅ……せめてもうちょっと遅く来いよ!お前のせいでイきそびれたし……」  久々のソロ活動だったのにめちゃくちゃ不完全燃焼だ…… 「わかった、責任は取ってやろう」 「はぁ?責任って……え、ちょ!?お前どこ触って……!?」  オレの言葉に少し考え込んでいた由羅が、オレの股間に手を伸ばした。 「やめろって!何やってんだよっ!?」 「さっき私のせいでイけなかったんだろう?だから責任を持ってイかせてやる」 「いやいやいや、どんな責任だよっ!?いいから触んなって!」  由羅の手を股間から退けようと必死に抗っていると、由羅に手首を掴まれてベッドに押し倒された。 「綾乃、暴れるとイけないだろう?ちょっと大人しくしてろ」 「イけなくていいってっ!自分でするしっ!」 「一つ言っていいか?」 「なんだよっ!?」 「お前、下手だぞ?あれじゃなかなかイけないだろ。あんまり自分でやらないのか?」 「ぅ、うるせぇよっ!」  一人でやんのに下手も上手いもあるかよっ!?自分が気持ち良けりゃいいんじゃねぇの!? 「まぁ騙されたと思ってちょっと任せて見ろ」 「騙されたと思ってって……ぁっ」  由羅がずぼっと手を突っ込んでオレのモノを取り出した。   「イきかけだったから良い感じに濡れてるな」 「うるさっ……ぁんっ……!?」  由羅の手を押さえようとしていたオレは、自分の声に驚いて慌てて口を押さえた。 「どうした?あぁ、声我慢しなくてもいいぞ?」 「声って……っやだっ由羅っ……んっ!」  AVみたいな喘ぎ声が自分の口から出たことが衝撃すぎて、羞恥心に顔が熱くなる。  必死に口唇を噛みしめて声を我慢していると、由羅がふっと笑った。 「そんなに噛みしめてると口唇が切れるぞ。声出してもいいから、口は開けておけ」  そういう気遣いをしてくれるなら、まず!その手を!離してくれませんかね!?  ああああ~!!!もうなんでもいいから早く終われぇええっ!! ***  数十分後―― 「綾乃?」 「やらぁ……も、むりぃ……」 「呂律が回ってないぞ、トんでるのか?おい、大丈夫か?」  由羅にペチペチと頬を叩かれているのはわかるが、身体中の力が入らない。    結果的に、オレは由羅の手練手管にやられてイかされまくったらしい。もう何が何だかわからない。  由羅の呼びかけに答える余裕もなくて肩で息をしていると、由羅がタオルで身体を拭いているのを感じた。  もうホントなんなのコイツ……最悪…… 「綾乃?もう寝るか?」 「ぅ……ん……」 「おやすみ」  当然のように由羅が頭を撫でて来る。  頭の中では、やめろ!と由羅の手を払っていたが、実際にはオレはそのまま眠ってしまっていた…… ***

ともだちにシェアしよう!