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クリスマス 第64話

 完全に平熱に戻るまで由羅のを受ける羽目になったオレは、今後、体調管理にはくれぐれも気を付けようと心に誓った。  莉玖という癒しに会えず、ずっと不機嫌な由羅に監視されている状態は、拷問だ…… 「……っていうか、なんで仕事休んでんだよ!?オレは勝手に寝てるからお前は仕事に行けよ!」  由羅は仕事も休んでずっとオレについていた。  まぁ、なんかパソコンを弄ったり、英語で電話をしたりしていたので、仕事はしていたらしいが…… 「私だって、お前がちゃんと言うことを聞いて、大人しく養生してくれるならそうしている!」 「大人しくするってば!」 「……お前は少しでも熱が下がると、もう大丈夫だと言って起きようとするじゃないか。ひとりにすると養生するどころか、嬉々として家中の掃除や洗濯をするだろう!?」 「ぅ……いや、じっと寝てばかりだと身体が鈍るし、洗濯物とか溜まっちゃうし、もう年末だし……ちょっとくらいは……」  図星をつかれてちょっと言葉につまる。 「だめだ。ちょっとならいいが、お前の場合は掃除を始めると時間を忘れるからな」 「そんなことねぇよ!」 「……風呂上りにろくに髪を乾かさずにソファーの掃除をして風邪をひいたのは誰だ?」  由羅の言葉に、オレは頬を膨らませて黙り込んだ。  今回久々に風邪をひいた原因は、由羅の言う通り、風呂で寝落ちしたあの日、髪をろくに乾かさずに長時間ソファーを掃除していたせいだからだ。 「……だから、ごめんって……」  莉奈が言うには、あの日、部屋に戻った時に由羅が怒鳴ったのは、怒ってたんじゃなくてオレが風邪をひくんじゃないかと心配してくれていただけなのだとか。  心配してるくせに、オレといるとイライラするってどういうことだよ!と思ったが、それも別に悪い意味じゃないらしい。  いや、どう考えても悪い意味だと思うけど……よくわからないのでそれは置いておいて……  結果的にオレは風邪を引いたので、由羅にしてみれば、やっぱり!と言う状態なわけで……  オレがむくれているのを見て、由羅がちょっとため息を吐いた。 「綾乃……初日にこの家の惨状を見たせいで、私は何もできないと思われているかもしれないが、一応私だって洗濯くらいはできる。食事も、簡単なものなら作れるぞ?」 「え、マジで!?」 「マジだ。今お前が食べているお粥は、私が作ったものだぞ?以前、莉玖の離乳食用に姉に作り方を教えてもらったからな」 「……へ?」  オレは自分が食べていたお粥と由羅を交互に見た。  え、これ由羅が作ってくれてたの?  なるほど…… 「どうりで、杏里さんが作ったにしてはちょっと芯が残ってると思った……」 「……芯?」 「いや、何でもない。そっか……スゴイな由羅!お粥作れるんだな!美味しいよ、ありがとな!」 「そうか、良かった」  由羅がホッとしたように微笑んだ。  由羅は真面目だから水の量とか火にかける時間とか、教えて貰った分量、時間きっちりで作ろうとしたのかもしれないが、米の種類によって炊くときの加減は少し違う。  由羅はそこらの融通は……利かなさそうだもんな~……  でも、莉玖のために頑張って覚えたんだろうなと思うとちょっとほっこりした。 *** 「早く元気になれ。そうすれば、何でも好きにしていい。でも、掃除をする時は私も一緒にするからな?」 「え?いや、それは俺が……」 「二人でした方が早い」 「それはそうだけど……」  由羅に手伝ってもらうってことは、莉玖どうすんだよ?  オレ、由羅が莉玖をつれて家を空けている間に、ひとりで一気に大掃除をする計画だったんだけど……    ん?大掃除……?  オレは携帯で今日の日付を確認して、慌てた。  大掃除の前に、イベントがあるじゃねぇかっ!! 「……あの~、由羅……さん?ちょっと今から出かけてもいい?」 「何だと!?……綾乃、私の言葉を聞いてなかったのか?好きにしていいと言ったんだが?」  由羅がまた頬をピクピクさせながら眉間に皺を寄せた。   「もうだいぶ元気になったし!それに、莉玖のいない間にちょっと買っておきたい物があんだよ」 「何を買うんだ?」 「えっと、杏里さんの子どもらに何かクリスマスプレゼントと、莉玖のために絵本と、あと、クリスマス用の食材とか?だってもう明後日がクリスマスイブだし……」  日曜に買いにいくつもりだったのに、結局熱が出てそれどころじゃなくなったから…… 「あぁ……そうか、わかった。連れて行ってやるから着替えておけ」  渋々ながら納得すると、食器を持って由羅が立ち上がった。 「え、いや、オレ自分で行ってく……」 「自分で行くと言うなら、ちゃんと治ってからにしろ」 「よろしくお願いしますっ!」 「よし」  自転車で駅前に行ってちょっと買って帰って来るつもりだったのだが、由羅の圧に負けて結局連れて行ってもらうことになった。 ***

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