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クリスマス 第66話
病み上がりに長時間出歩いたせいか、オレはまた熱がぶり返して、由羅のお説教を食らう羽目になった。
あ~もう!オレのバカぁ~~!何でぶり返しちゃったんだよぉ~~!帰ってきてからは大人しく寝てたじゃないかっ!!
せっかくクリスマス用に食材を買って来たのに、24日の朝になっても熱が下がらず、由羅に台所に立つのを禁止されてしまった。
「……莉玖は?」
「莉玖ならまだ姉の家だ」
「そか……」
オレが風邪をひいてから、莉玖はずっと杏里さんがみてくれている。
仕事を休んでいるのなら、由羅が莉玖をみればいいと思うのだが……由羅にオレの看病をしろと言ったのはどうやら杏里さんらしい。
どういうことなの……?
「今夜は姉の家でクリスマスパーティーをするらしいから、莉玖も一緒にって」
「そか……」
まぁ……杏里さんのところには結構大きめのクリスマスツリーもあるらしいし、莉玖もあっちの方がクリスマス気分を味わえていいよな……
「あ、それじゃ杏里さんのところに行く時に一路 たちへのプレゼントと、あと、冷蔵庫に入ってる食材も一緒に持って行ってくれよ。ここにあっても仕方ねぇし」
「ん?……食材は別に大丈夫だろう。肉は冷凍しているし、他の食材もまだ日持ちはするぞ?」
「……そか……」
そりゃまぁ……別にいいけど……
クリスマスが過ぎてから、クリスマス用のチキンとか食うのってなんだか侘 しくならねぇ?
ま、由羅はそんなの気にしないか。
***
「――綾乃、持って行くのはこれだけでいいか?」
「……うん」
「じゃあ、行って来る。ちゃんと寝てろよ?」
「ふぁ~い」
由羅は昼飯の後、オレが薬を飲むのを確認してから、クリスマスプレゼントを持って杏里の家に向かった。
あ~あ、せっかくのクリスマス……
別に……職業的にイベント事には敏感なだけで、自宅ではひとりなので特別何をするわけでもなかったけど……だからこそ……
莉玖たちとクリスマスすんの……ちょっと楽しみにしてたんだけどなぁ~……
とは言え、自業自得なのでしょうがない。
クリスマスよりも、まずは早く治さねぇと!
オレは横になると、目が覚めたら風邪は治ってる!と言い聞かせて目を閉じた。
それからどれくらい経ったのか……
オレはベッドが軋む音と沈み込む感覚にぼんやりと目を開けた。
「……んん?」
「あぁ、すまない。起こしたか。ちょっと熱下がったか?」
隣に寝転んだ由羅が、額に手を当ててきた。
ん?
「由羅?」
「なんだ?」
「……何やってんの?」
「添い寝」
「あ~……え?」
寝惚けているせいか、熱があったせいか、頭が働かない。
「冗談だ。でもちょっと休ませてくれ。子どもたちの相手をして疲れた」
「あぁ……お疲れさん」
隣でぐったりと伸びている由羅の頭を無意識によしよしと撫でた。
自分ではよくわからないが、オレはボーっとしている時に隣に誰かが寝転ぶと、条件反射的に寝かしつけなければと身体が勝手に動いてしまうらしい。
由羅は別に怒るでもなく、そのままおとなしくオレに撫でられながら話を続けた。
「プレゼントは姉に渡しておいた。夜の間にツリーの下に置いておくらしい」
「そか、ありがと」
「晩飯も分けてもらってきた。まだ早いからもう少ししてから食べるだろう?」
「……あ~、うん……今何時?」
「今は~……夕方の5時だ」
「そか……」
昼飯を12時前に食べたので結構寝ていたことになるが、何だかまだ眠たい。
寝すぎてダルイのかな……
目を閉じると、またすぐに眠りに落ちていた。
***
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