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Let's travel!! 第90話
「ただいま~!風呂めっちゃ良かった!由羅、露天風呂から海が見えて……あ゛……」
大浴場は屋上にあった。
露天風呂からの展望をたっぷりと楽しんだオレは、超ご機嫌で部屋に戻ったのだが……
扉を開けると、莉玖のぐずる声が聞こえて来た。
あちゃ~……起きちゃったのか……
「あぁ、おかえり」
オレを見て、明らかに由羅がホッとした顔をする。
「ただいま!悪い、ちょっと遅くなったな。おいで、莉玖~」
「あ~のぉ~」
「はいはい、綾乃だぞ~。泣いてるのは誰だ~?」
「すまないな」
由羅から莉玖を抱き取ってあやしていると、由羅がちょっと申し訳なさそうな顔をした。
「え?何が?」
「パパイヤ期のせいで、綾乃が全然休めていないだろう?」
「あぁ、いや、別にいいよ。由羅が莉玖をみてくれてたおかげでお風呂でゆっくりできたし。莉玖、いつ起きたんだ?」
「今さっきだ」
「そっか」
寝ぼけた莉玖が目を擦りながらオレにぺったりともたれてきた。
うん、可愛いんだけれども……もう晩飯の時間だから一旦起きろ~!
「莉玖~おはよ~!もうすぐご飯だぞ~?起きてくださ~い!」
ご飯と聞いて、莉玖が寝惚けながら口をもぐもぐと動かした。
「莉玖、お腹はいっぱいになったか?」
「ぅぶぅ~……」
莉玖が眉間に皺を寄せて、不満そうに目を開けた。
「やっぱり、それじゃお腹はいっぱいにならねぇよな~」
由羅と顔を見合わせて吹き出した。
「なぁ、莉玖。お風呂気持ち良かったぞ~!?ご飯食べたら莉玖も一緒に行ってみるか?」
「綾乃、赤ん坊を大浴場に入れて大丈夫なのか?」
オレが莉玖に話しかけているのを聞いて、由羅がちょっと焦った顔で心配してきた。
「大丈夫だぞ?まぁ、みんなが入るところだから、排泄には気を付けておかないとだけど、わりと赤ちゃんからでも温泉や銭湯に連れて行ったりするぞ。まぁ大抵は母親と一緒に入るから、男湯ではあんまり見かけねぇかもしれねぇけどな……」
オレが子どもの頃は近所の子どもたちを連れてよく銭湯に言っていたし、保育園でも赤ちゃん組のお母さんたちから家族旅行で温泉デビューをしてきたという話もよく聞いた。
「そうなのか」
「飯食ったら由羅も一緒に行くか?」
「え?……あぁ、そうだな」
由羅がキョトンとした顔をした。
なんでそんなびっくりしてんだ?
あ、そうか……
「あ~……大浴場とか苦手だったら別に来なくても……」
「行くっ!!大丈夫だ。普段はあまり使わないが、苦手なわけじゃない。だから、私も行く!」
「お?そ、そうか?うん、それじゃ一緒に行くか!」
前のめりに返事をしてきた由羅に、ちょっと苦笑してしまった。
なんだ、そんなに大浴場行きたかったのか~?
それとも、莉玖と入るのが楽しみってことかな……?
***
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