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Let's travel!! 第98話
海に別れを告げたオレたちは、道の駅に来ていた。
トイレ休憩と、杏里 たちへのお土産を買うためだ。
「あ、これ美味しいな~!……あ、こっちも!」
「おい綾乃、もしかして全部食べて行くつもりか?」
試食用のお菓子を次々に口に放り込んでいくオレを見て、由羅が呆れた顔をする。
「だ、だって、試食しなきゃ美味しいかわかんねぇじゃんか!そのための試食だぞ!?」
「別に姉への土産など何でもいいと思うが……」
「どうせなら美味しい方がいいだろ!」
「で、どれが美味しかったんだ?」
「う~ん……全部美味しい……」
「ふ、ははっ!なんだそれは。それじゃ試食の意味ないだろ」
何にツボったのか、由羅が噴き出した。
「だって、マジで全部美味しいんだもん……由羅も食ってみろよ!!」
と、由羅に煎餅を差し出しかけてふと気がつく。
「あ……えっと……もしかしてセレブはこんな道の駅とかでお土産を買ったりしねぇの?」
自分の感覚でお土産を買おうとしていたが、考えてみると由羅も杏里さんもセレブだ。
お土産は、こんな庶民的なところで買わずに、もっとお高い店でお買いになりますのかしら……?
「セレブ?別にセレブではないが……まぁ、私はこういう土産物はあまり買ったことがないな。職場で社員からお土産としてもらうことはあるが……」
由羅はそう話しながら、引っ込めようとしていたオレの手首を掴むと、オレの手から直接、試食用の小さい煎餅の欠片を食べた。
おいこら、自分の手が汚れるのが嫌だからって人の手を使って食うなよ!!
「うん、うまいな、この煎餅」
「だろ!?……ぅ~ん、でもこっちの大福っぽいのも美味いんだよな~……」
「綾乃……姉の分だけじゃなくて家で食べる分も買っていいぞ」
「え?家で食べる分?」
「お土産は家で食べるために買っちゃダメなのか?」
「いや、それは別にいいと思うけど……」
そうじゃなくて……乗り気じゃなかった由羅が、急に家で食べる分も買おうなんて言うと思わなかったから、びっくりしたんだよっ!!
「家の分は何個だ?」
「何個!?あ~……う~ん……別に何個でも構わんが、ただ、賞味期限があるからなぁ……」
由羅が腕を組んで軽く唸った。
たいていはこういうところで売っているお土産は賞味期限が長いのが多いが……
「それじゃあ、賞味期限が重ならないものなら3個まで!」
「3個も!?わかった!選ぶ!!」
3個も買っていいの!?え~……どれにしよう~!?
オレは杏里の分と、由羅家の分を考えて更に悩むことになった。
「時間はあるから好きに悩んでくれていいが、そろそろ莉玖が飽きてきているようだし、まぁ程々にな」
「はーい!!」
返事をすると、オレはまた最初から試食をやり直した。
だって、最初の方に食べたやつは味を忘れちゃってるかもだし!?
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