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休日の過ごし方 第115話

「それじゃあ、行って来る」  食後、急いでお出かけセットを準備して、莉玖を着替えさせた。 「行ってらっしゃい!莉玖~、楽しんで来いよ~!」 「ああああああああああのおおおおおおお!!?」  当然オレも車に乗って来ると思っていたのであろう莉玖は、オレがドアを閉めて手を振る姿を見て絶叫した。 「アハハ……なぁ由羅、ホントに大丈夫か?」 「大丈夫だ。姉のところに行けばどうにかなるだろう。車で走っている間に機嫌が直るかもしれないしな。お前の方は大丈夫か?何かあればすぐに連絡を……」 「はいはい、わかりましたって!買い物は昨日してあるし、今日は外出すんのは図書館に行くくらいだよ。後は家でゴロゴロさせてもらいます!」 「そうか。綾乃……」 「ん?」 「くれぐれも、一日中掃除をして休暇を終えるとか言うのはないように!!」 「わ、わ~かってるって!」  図書館から帰ってきたら掃除をしようと思っていたので、思わず笑顔が引きつった。   「あ、ほら、早く行かねぇと莉玖が泣きすぎて吐いちゃうぞ!」 「あぁ、それじゃあまた夜に」 「行ってらっしゃい」  遠ざかる車内から漏れだす莉玖の泣き声に苦笑しつつ、車が見えなくなるまで手を振った。   *** 「……さてと、図書館に行く用意すっかな」  洗濯物を干して、掃除機もかけおわったオレは、自転車で図書館に出かけた。  絵本コーナーで莉玖に読み聞かせする本を選ぶ。  今日は他に用事がないので、莉玖用の絵本以外の本も何冊か読んだ。  元々小説や児童文学は嫌いじゃないが、自分の分を借りて帰っても読む時間がないので、図書館に来た時にちょこちょこ読むことにしているのだ。 「これ面白かったな~。シリーズなのか!よし、続きは次に来た時にも読もうっと」  図書館を出た時にはもう昼過ぎだった。  由羅たちが帰って来るのは夜なので、昼飯は自分だけだ。  何食おうかなぁ~……適当におにぎりでも……  図書館帰りにぼんやりと昼飯のことを考えながら歩いていると…… 「ねぇ、これはやっぱり運命だと思わないかい!?」  急に後ろから声がしたと思うと、なぜか視界がクルリと回った。  両手を引っ張られてその場でクルクルと回らされているのだと気がついたのは、後になってからだ。 「え?え?ぅわっ、ちょ、ななななんだよ!?」 「やぁ!こんにちは!」 「ふぇ……?な、なんなんだよ!?何すん……っ」  突然のことに目が回ってフラフラになっていたオレは、ようやく定まってきた視線を自分の両手を掴んでいる男に向けた。 「って、お前は……っ!?」  オレは驚きすぎて、叫びを通り越して声が出ない状態で口をパクパクした。  冗談だろ……?誰か夢だと言ってくれ……!!   ***

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