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休日の過ごし方 第117話
「あ~楽しかった!さてと、それじゃそろそろ次の仕事だから行くね。もうすぐ彼が来ると思うから、よろしく言っておいて~!」
「え?あ、おい!麻生!?」
「綾乃くん、またね~!」
由羅と不毛なやり取りをしていた麻生は、突然通話を切ってオレに携帯を戻して来た。
次の仕事って何だよ!?仕事があるなら先に言えよ!
そしたら由羅だってわざわざ来る必要なかったのに……!!
麻生が店を出てほんの数分後、由羅が入って来た。
「綾乃!!……あいつは!?」
「あ~……えっと……」
由羅が不機嫌オーラ全開で迫って来たので思わず後ろにのけ反った。
かと思えば……
「大丈夫か?何もされていないか?」
急に心配そうな声でペタペタとオレの顔を触ってきた。
「だ、大丈夫だって!何もされてねぇよ!」
「そうか、良かった。駅前の駐車場に車を停めている最中に急に通話を切って来たから、もしかしてどこかに移動したんじゃないかとヒヤヒヤしたぞ」
そう言いながら、由羅が大きく息を吐いて椅子にドサリと腰を下ろした。
由羅の勢いに圧倒されていて気付かなかったが、よく見ると由羅は少し息が上がっていた。
駐車場から走って来たのか?
「あの……なんかごめん……」
「何がだ?お前が悪いわけじゃないだろう?」
「そうだけど……あ、マジであいつとは偶然会って……」
「わかっている。まぁ……そんなに偶然が続くというのも驚きだがな……」
ホント驚きだよ……っていうか、オレの方が驚いてるし!!
「あ~……えっと、コーヒー飲むか?オレ買ってくる」
「そうだな……頼む」
お疲れ気味の由羅をその場に残して、オレはコーヒーを買いに行った。
***
「莉玖の様子は?」
「車の中ではずっと泣いてた。姉の家に着いても最初はお前の名前を呼んでぐずっていたが、姉におやつをもらうとケロッと泣き止んでな。そのまま機嫌よく遊んでお昼寝をしていたので、姉に任せて出て来たんだ」
「そうだったのか」
莉玖、おやつにつられたのか……
その場面を想像してちょっと笑ってしまう。
「今からならお昼寝中に戻れそうだな」
朝だいぶ泣いたみたいなので、たぶん疲れてお昼寝は2時間くらいは寝てくれるはずだ。
オレが時計を見ながらそう言うと、由羅が曖昧な返事をした。
「まぁ、そうだな……ところでお前はこの後どうするんだ?」
「オレは……用事は済んだから後は家でごろごろするだけだけど?」
つまり、めちゃくちゃ暇だからこのまま一緒に杏里の家に行ってもいいくらいなのだけれども……?
「特に用事がないならどこか出掛けるか?」
「……は?」
「今からだからあまり遠くには行けないが……」
「いや、出掛けるって由羅と?え、なんで?」
思いがけない由羅の言葉に、オレは大きく首を傾げた。
***
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