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休日の過ごし方 第120話

 超ご機嫌の由羅と一緒に莉玖を迎えに行くと、ぐずっているかもというオレたちの心配をよそに莉玖は一路(いちろ)たちに遊んでもらって、これまたご機嫌だった。   「莉玖~!いい子にしてたか~?」 「あ~の!」 「あやのちゃ~ん!ねぇ、これいっしょにしよ~?」 「おままごとしよ~!」 「えほんよんで~!」  莉玖を抱き上げたオレの腰に一路たちがガシッと抱きついてきて、オレはあっという間に杏里の子ども達に囲まれた。 「待て待て!綾乃は一人しかいませ~ん!!一度に言われてもわかんねぇよ!ブロックしながらおままごとして絵本読めばいいのか?」 「ちがうよ~!ぼくがいちばんにいった!」 「おにいちゃんずるい~!」  オレの腰に抱きつきながら子どもたちがケンカを始めた。  あの~……せめてちょっと離れてケンカしてくれねぇかな?  莉玖をおろすことも出来ず、子ども部屋の入口で突っ立ったまま動けない。 「こらこら、ケンカすんのはいいけど、ケンカしてたらどんどん遊ぶ時間なくなるぞ~?」 「ええ!?やだぁ~!う~ん、どうしたらいいかなぁ……」  慌てて一路が解決策を考える。 「あっ!わかった!みんなでおままごとして、おままごとでブロックしたり、えほんよんだりすればいいんだ!」  一路がどや顔でオレを見て来た。 「おお、それだ!一路さすがだな~!」  うん、さっきオレが言ったのとほとんど同じだけどな? 「ちなみに、響一おじさんもいるぞ?」 「いや、私は別に……」  急に話を振られて、由羅がちょっと逃げ腰になった。 「おじさんもいっしょにあそぼ~!」 「こっちだよ~、おいで~!」 「あ~わかったわかった、こら服を引っ張るな」  双子に捕まった由羅は、渋々輪に入って来た。  結局、そのまま由羅とオレは夕食まで子どもたちと遊んで、杏里の家で夕食と風呂までごちそうになった。 *** 「莉玖完全に寝ちゃったな」 「はしゃぎ疲れたんだろ」  杏里の家を出る時からウトウトしていた莉玖は、車が走り出した途端、そのまま爆睡してしまった。 「由羅もだいぶ一路と話しが弾んでたみたいだけど?」 「あぁ……まぁな」  由羅は一路とクレーンゲームの話しで盛り上がっていた。 「また今度、一緒にクレーンゲームをしに行こうという話になった」 「良かったじゃねぇか」 「それまでにもう少し練習しておかないと……」 「一路が獲り方を伝授してくれるんじゃないのか?」 「一路はまだ自分だけで獲ったことはないらしい」 「ありゃ、そうなのか」  じゃあ、あんなに意気揚々と身振り手振りで由羅に獲り方を教えてたのは何だったんだ? 「普段は姉が獲っているらしい」 「え、杏里さんが!?」 「ああ」 「そ……れはちょっと……意外だな」  いや、そりゃまぁ……杏里さんが連れて行かなきゃ一路たちだけではそんなゲーセンなんて行けないもんな。 「だから、せめてもう少し獲れるようにならないと……姉に出来るんだから、私にも出来るはずだ!」 「ぶはっ!……っははは、そうだな、うん、出来る出来る!っつーか、今日一個獲れたんだから、由羅だって獲れるようになるよ」  由羅が杏里に対抗心を燃やしていることに思わず笑ってしまった。  オレは一人っ子だし、近所にいた幼馴染たちは年下ばかりで、あまりお兄ちゃんとかお姉ちゃんという存在が自分の周りにはいなかった。  だから、年上に甘えるとか、逆に対抗心を持って年上と同じことをやりたがるというようなことは、オレ自身はあまり経験がない。  由羅だって家族から引き離されて育って、杏里たちとはほとんど一緒に過ごしたことはないと言っていたけど、それでもやっぱり……「姉には負けたくない!」って思うんだなぁ~…… 「なにがそんなにおかしいんだ?」 「いや、やっぱお前ってなんだな~って思ってさ」 「ん?」 「あ~……えっと、杏里さんは良いお姉さんだなってこと!」 「……そうだな」  ミラー越しに由羅の口元が緩んだのが見えた。   ***

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