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〇〇は外? 第123話

「節分?あの、豆まきをするやつか?」 「そう、それ!」  オレは由羅の晩飯を用意しながら、節分の制作について話していた。  制作用の材料費も由羅家の財布から出してもらっているので、一応何に使うのか報告するようにしているのだ。 「鬼のお面作ったり、豆を入れる箱を作ったり……」 「別に作るのは構わないが、莉玖が鬼のお面を作ってどうするんだ?莉玖に豆を投げるのか?……いただきます」  由羅がちょっと首を傾げつつ、手を合わせて晩飯を食べ始めた。 「はい、どうぞ。いや、お面を作るのは節分の雰囲気を味わうためっつーか……それに自分も鬼のお面付けてたら、鬼が来てもちょっと怖くなくなるかもしれないし。まぁ他にもいろいろあるけど……本番はオレが鬼役になるよ」 「綾乃が?」 「保育園ではオレ鬼役してたし、それにさ、オレがいない状況で鬼が襲って来たら、莉玖はお前に頼るしかなくなるだろ?そこでお前がオレに豆をぶつけて鬼を退散させたら、「パパかっこいい!パパすごい!」ってなるはず!どうよ、オレの完璧な計画!!」  保育園では、鬼を退散させるのではなく、最終的には心を入れ替えた良い鬼と友達になるような流れにしていた。  鬼さんとも仲良くしてあげようね、鬼さんも本当はお友達が欲しかったんだよ。みたいな感じで、一応、鬼だから悪いやつ!と決めつけるような考え方をしないようにという、ある意味道徳の勉強も兼ねていたのだ。  莉玖にも、相手の気持ちを考えたり受け入れたりできるような心を育んで欲しい。  でも、今年はひとまず鬼を退散させるだけだ。  莉玖にパパの凄さを見せることで、少しはパパイヤがおさまるかもしれないからな!  自信満々のオレを由羅が微妙な顔で見た。 「綾乃に豆をぶつけるのは私が嫌なんだが?」 「え、なんで?」 「なんでって……」 「あ、本物の豆を使うと後の片づけが大変だし勿体ないから、豆は新聞紙を丸めたボールを使うつもりだ。だから当たっても全然痛くないぞ?」 「そういう問題じゃないんだがな……」 「じゃあ、なんだよ!?」 「好きな相手に物を投げつける趣味はない」 「……はい?えっと、いや、待って?あの、由羅ってさ、節分したことある?」  節分は行事であって、鬼になるのもただの役だし、豆を投げつけるのは別に鬼役の人のことが嫌いだとか好きだとか関係ないし!! 「私だって節分は知っている」 「うん、豆まきをしたことは?」 「……幼稚園ではした覚えがある」 「家では?」 「ない。ああ、いや、一応していたな。だが……豆まきは祖母が何もない空間に向かって豆を撒いていただけだぞ?」 「あ~……」  あのじいさんなら、自分が鬼役になって豆をぶつけられるのとか……嫌いそうだよな~……  そうか、由羅は鬼に向かって豆をぶつけるってことをしてないのか。   「う~ん、じゃあ、鬼役はなしにするか?」 「私が鬼役になる」 「由羅が!?なんで!?」 「だって、鬼に向かって投げるものなんだろう?だったら、私が鬼役になる。それに、ちょっと興味があるしな」 「興味?」 「お前の話しを聞いていると鬼役も楽しそうだ」 「まぁ……お前がやりたいっつーならやってもいいけど……」  結局、由羅が鬼役になってしまった。  そしてオレの『脱パパイヤ期計画』が全部白紙に戻ったのだった。 ***

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