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両手いっぱいの〇〇 第211話

 亮との謎のいざこざ?から数日。  由羅に聞いても亮に聞いても、何があったのかは何となくうやむやにされてしまった。  とりあえず、二人とも「何となく気が合った。いいライバルとしてどちらも綾乃を諦める気はない」と宣言されてしまった。  いやいや、諦めろよ!  なにを二人で勝手に爽やかなアオハルみたいなこと言ってんだ!?  オレはリョウと幼馴染以上になるつもりはないし、由羅とも……今以上になるつもりはねぇよ?だって……なれねぇし……    なぜかオレだけ置き去りで、あれから二人で時々連絡を取りあっているらしい。  ホント仲良しだな、おい!! *** 「綾乃、明後日だが……」  晩飯を食べながら、由羅が珍しくちょっとオレの顔色を窺うように話しかけて来た。 「ん?なんだ?」 「その、休み……」  休み?あぁ、そう言えば明後日は由羅が仕事休みだっけ?  この様子だと、もしかして仕事が入ったのかな?  ちゃんと休めってオレが怒るとでも思ったのか?  まぁ…… 「別にいいよ」 「え?いいのか?」 「そりゃまぁ、(ちゃんと休んで欲しいけど)仕事なら仕方ないだろ?」 「仕事じゃない!そうじゃなくて……いや、そうだな……う~ん……」  由羅が箸をおいて頭を抱えた。  何だよ?なんでそんなに悩んでるんだ?  仕事じゃないってことは、プライベート?   「……結局こうなるから……進まないんだ……」 「何ブツブツ言ってんだよ。明後日の休みがどうしたんだ?仕事じゃないけど、何か用事が出来て莉玖をみて欲しいっつーなら、別にみるぞ?」 「いや、だから……そうじゃなくてだな……あ~……その……一緒に水族館に行かないか?」 「ん?水族館?……あぁ、もしかして……」  最近壁面を海の中をイメージしたものに変えたからか?  その時に、「いつか莉玖が水族館に行ったらこんな景色を見るだろうな~……」ってなことを話したような……   「いいんじゃないか?莉玖も喜ぶだろ。動物園は正月に行ったけど、水族館はまだ行ったことないもんな!」 「あぁ、それにもうすぐ莉玖の……誕生日だしな」 「あ、そっか……」  莉玖の誕生日……ということは、莉玖の実母である莉奈が亡くなってから1年になるということだ。 『そうよ!もうすぐ莉玖の誕生日だわ~!もう2歳か~!ねぇ、誕生日はどんな風にお祝いする!?1歳の時はあいつらから逃げるのに必死でちゃんとお祝いしてあげられなかったのよね……だから2歳は盛大に祝ってあげて欲しいの!ねぇ、可愛い飾りつけとかする!?ほら、兄さんの退院祝いにしてたみたいなやつ!!あれで「おたんじょうびおめでとう」ってして欲しいな~!あとは……』  莉奈のことを思ってちょっとしんみりしているオレと由羅の背後で、莉奈本人は張り切って誕生日パーティーの計画を立て始めていた。 ***

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