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両手いっぱいの〇〇 第240話

 結局、休みにすると逆にオレが家でひとりになって心配だからと、クリスマスにオレが熱を出した時のように、由羅がオレの面倒をみて、莉玖は杏里さんがみてくれることになった……らしい。  あれだけ「響一には任せられない!」と言っていたはずなのに、なぜ杏里がいきなり由羅の言い分を受け入れたのかはわからないが……  っつーか…… 「なぁ、オレ、本当にもう元気だってば!たぶん、ずっと寝てたのってさぁ……その、あの時ちょっと大量の(やつら)に襲われてたから、それで疲れたっていうか……」  由羅も昔は視えていたということを知ったとは言え、今は視えてないみたいだし、どの程度まで視えていたのかとか、オレの話しをどこまで信じてくれているのかとか……いろいろ気になって、何となく声が小さくなった。  だって、子どもの頃は別として、誰かとこうして人ならざるものについて話をするのって初めてだしな~……  視えない人からすれば、何言ってんだこいつ?って、ただの痛いやつにしか見られないし…… 「オレあんまり霊力(ちから)強くねぇから、(やつら)を弾くのはかなり大変で……」  子どもの頃にもしょっちゅう狙われてたけど、御守りの力も借りてなんとか弾いたあとは大抵しばらく寝込んでいた。  だから、今回のもきっと……あれ?でも御守り持ってなかったのにどうやって弾いたんだ? 「なぁ、由羅がオレを見つけた時って……洞窟の中どうだった?」 「どうだったとは?」 「だから、その……めっちゃすごい風が吹いてたとか~……すごい眩しかったとか~……」 「私が入った時には特に変わったところはなかったぞ?」 「そ……か……」 「ただ……洞窟に近付いた時に洞窟の中から一度突風が吹いてきて、危うくボートが転覆しかけた。その時に強い光も見えたな。光に関しては私しか見えていなかったようだが……」 「え、マジで!?」  ってことは…… 「由羅が来てくれたからってわけじゃねぇのかな……」  由羅が来てくれたから浄化してくれたのかと思ったのだが、そういうわけではないらしい。  まぁ、洞窟から風が吹いたっていうのは、恐らく由羅が近付いてきたおかげ?で、(あいつら)が風と一緒に飛ばされたんだと思うけど…… 「私がどうかしたのか?」  由羅がちょっと首を傾げた。  あ、こいつ自分の守護霊のことは知らねぇのか。 「えっと……莉奈が言うには……」  由羅の守護霊が強いおかげでこの家は守られている……らしい。  と、莉奈に聞いたことを話す。 「莉奈が?……ほう?私の守護霊が……」  由羅がイマイチわからないという顔をした。  オレにも何となくオーラは視えるけど、由羅の守護霊の姿をハッキリ視たことはない。  ん?守護霊が強いってことは、由羅自身の霊力はあんまりねぇのか?  今は視えてないんだもんな~?  何かよくわかんねぇな……まぁ、そもそもが不確かなものだから考えるだけ無駄か。  あ……! 「そういやあの時……」 「なんだ?」 「なぁ、オレ、ポケットに何か入れてた?」  眩しい光が出ていた時、ジャージのポケットがやけに熱かった。  あの時持っていたのはキーケースくらいだったと思うけど、他にも持ってたっけ? 「ポケット?あぁ、これか?」  由羅が鞄からキーケースを取り出した。 ***

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