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両手いっぱいの〇〇 第260話

 月雲(つくも)の話しでは、由羅は出会った頃ちょっと厄介な状態だったらしい。   「まぁ、どう厄介だったかは……説明すんの面倒だから省略するけどな」 「ええっ!?」  いや、そこ気になるっ!! 「気になるならゆらりんに直接聞いてみな?まぁ、ゆらりんも面倒臭がって話さねぇと思うけど」 「ぅ~~……」  たぶん、話してくれねぇだろうな~……  いや、話したくねぇことを無理やり聞くのも、由羅に関することを本人の許可なしに月雲から聞くのもダメだとは思うんだけどさ!? 「簡単に言うとでっかい怨霊に憑りつかれてたって感じ?」 「ひぇっ!?」  いやいやいや、余計に気になるっ!!  でっかい怨霊!?どういうことだ!? 「え、でも由羅って霊力が強いっつーか、守護霊が強い?から、霊は近寄れねぇんじゃないのか?だって、家の中とか莉奈以外は全然霊がいないぞ?……あ、もしかしてオレが視えてねぇだけかな?」 『ううん、家には本当に私以外の霊はいないわよ』 「だよな?」  オレだってさすがにすぐ傍にいると気配くらいは感じる。  あ、嘘です。莉奈はすぐ傍にいても認識出来てねぇときあるわ……  月雲はオレも結構強いみたいに言ってたけど、オレの霊力(ちから)マジでポンコツじゃねぇか……   「あぁ、その頃のゆらりんの守護霊は今ほど強くなかったからな」 「え、守護霊が筋トレでもしたってこと!?」 「筋トレ……?ブハッ!!……っははは!ちょ、あやりんいいねぇ~!筋トレか~!その発想はなかったわ」  月雲がオレの発言に爆笑した。  なんだよぉ~!強くなるっつったら、筋トレだろっ!?  はいはい、どうせオレはバカですよ!!  発想が乏しくて悪かったなっ!! 「いやいや、(わり)ぃな。っくく……バカにしたわけじゃねぇんだよ。ホントに予想外過ぎて……はははっ……」 「別にいいっすけど……」  どうでもいいけど、悪いと思ってるならいい加減笑うのをやめてほしい…… 「ほら、ゆらりんってちょっと複雑な家庭環境で育っただろ?」 「あ……はい。そうですね」 「そのせいもあってな……幼い頃から良くない氣を浴びてたわけだ」 「一応、月雲さん……と出会った時に、負の感情に取り込まれないようにってこのブレスレットを貰ったっていうのはチラッと聞いたんですけど……」  由羅にもらったブレスレットは、小袋の紐を長くして御守りと一緒に首から下げている。  手首にしてると莉玖に引きちぎられそうだからな……  オレは、そのブレスレットを取り出して月雲に見せた。 「お?あぁ、やっぱりあやりんが付けてたんだな。懐かしい気配がしてると思ったんだ」  月雲はブレスレットを手に取ると、懐かしそうに顔を綻ばせた。 「懐かしい気配?ブレスレットに気配なんてあるのか?」 「あるぞ?まぁ、このブレスレットは元々俺がずっとつけていたものだし、俺の霊力をだいぶ込めてあるからな」 「えっ!?そうなのか!?じゃあ、月雲さんの霊力と由羅の霊力両方の霊力を吸ってるってことか~……すげぇなこのブレスレット……最強じゃねぇか!」 「まぁ、ゆらりんの霊力の半分は俺の霊力だけどな」 「……ん?」  由羅の霊力は月雲の霊力?  どういうことだ……? ***

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