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癒しのお憑かれ温泉旅行 第289話※
由羅にちゃんとキスされるのは久しぶりな気がする……
悔しいけど、由羅のキスはやっぱり気持ちがいい。
「っ!?……由羅……待っ……て!」
キスに夢中になっていると、由羅の手が浴衣の中に入って来るのを感じて思わず身をよじった。
「こら、さっさと済ませるんだろう?逃げるな」
「に、逃げねぇってばっ!でもちょっと待っ……っぁ――」
逃げるつもりはないが……由羅の手がオレのモノに触れた瞬間、唐突に以前由羅にめちゃくちゃイかされたことを思い出して身体が熱くなった。
よりによって、なんで今そんなこと思い出しちゃうんだよっ!?
「んんっ……やだ、ちょ……ぅ~~っ!」
由羅を押しのけようと必死に胸板を押し上げるがビクともしない。
それに、もがけばもがくほど浴衣が乱れて……脚が露 わになっていく。
あれ?オレもしかして自爆してる……?
「な……ぁ、由羅ってばっ!なんで前触ってくるんだよ!?」
つ、突っ込むのは尻の方じゃねぇのか!?
前は関係ねぇだろ!?
「綾乃が辛そうだから一回出しておいた方がいいかと思ってな」
おおおお気遣いありがとうございますっ!?
って、だからそういう気遣いはいらねぇんだよっ!!
オレがそうなってんのは由羅がキスしながらあっちこっち触ってくるからだしっ!?
「別に辛くなんて……ヒッ!?」
由羅がほぼ完勃ち状態のオレの先端をグリグリと親指で刺激してきた。
「やめ……っ……もぉ~~~っ!!……前 はいいから、さっさと突っ込んで終わらせろよっ!!」
「……っ!」
危うくイかされそうになったオレは、グイッと由羅を引き寄せ由羅の額にガツッと自分の額をぶつけて怒鳴った。
由羅はちょっと顔をしかめて手を止めると、何とも言えない微妙な顔でオレを見下ろした。
「な、なんだよ?……ぁ、えっと……あの……痛かった?ごめ……」
「いや、額はそんなに痛くないが……清々しい程にムードの欠片もないなと……」
「し、仕方ねぇだろっ!?だいたいオレ男だし、んな、ムードとか必要ねぇじゃんか……」
っていうか……
『やだぁ~!そんなことないわよ~!?性別なんて関係なく、こういう時にはムードは必要なのよ~!!ヤってる最中に頭突きするなんて言語道断よっ!?しんじらんな~い!!』
キャサリンさんちょっとお黙り下さい!!
しんじらんな~い!はこっちのセリフだっ!!
先ほどから雰囲気や快感に流されそうになる度にこうやってキャサリンさんが出て来るので、一気にスンッとなってしまうのだ……ムードぶち壊してんのは誰だよっ!
そもそも、誰のせいでこんなことになってると思って……
『アンタがうっかりアタシに返事しちゃったからよね~』
そうだよっ!オレのせいだよっ!くそぉ~~!!オレのばかぁああああっ!!
『まぁ、まさか出られなくなるとは思わなかったから、うっかりはアタシもだけど~?でも、アンタこの彼と付き合ってるんでショ?だったら、遅かれ早かれこうなるんだし、初体験でアタシみたいな百戦錬磨のプロが憑いてるんだから感謝してもらいたいくらいよ~?――』
キャサリンが後頭部が地面につくんじゃないかと思うくらい得意気にふんぞり返った。
一体この状況のどこに感謝する要素があるんだ……
「――綾乃、こんな時に考えごとか?随分余裕だな」
「……え?いやあの……考えごとっていうか……」
「余計なことは考えるなと言ったはずだが?」
由羅はオレがキャサリンと話していることに気付いたらしい。
ただでさえ不機嫌そうだった顔に眉間の皺が数本追加された。
あ……ら?え~と……なんでそんなに怒って……やっぱりさっきの頭突きが痛かったのか!?
「綾乃はこっちに集中しろ!」
「へ?っあ……ちょ、いやマジで前 は……由羅っ!……それダメだって!」
「ダメじゃないだろう?一回出しておけ」
由羅がフッと笑うと、手の動きを速めながらオレの首筋を甘く噛んだ。
「はっ、ん!……やっ、それ……もぅ、で……っ……んんっっ!!――」
無意識に由羅にしがみついていたオレは、肩で息をしつつ腕を緩めると由羅から離れてぐったりと布団に倒れこんだ。
あ~もう……デジャブ……
前もこうやってあっという間に由羅に何回もイかされて……その後は……なんだっけ……?
「綾乃、そのまま力を抜いていろ」
「ふぇ……?あ゛――っ!?」
***
「はい……った?」
ぐったりと目を閉じて横になっている間に由羅が尻に何かを突っ込んできた感覚がした。
あれ?もしかして今のでもう終わった?案外あっという間……
「残念ながらこれからだ」
じゃなかったああああああああああ!?
これから!?これからってなに!?
え、でも……
「……も、もうぜんぶはいってる……よな?」
「あぁ、入ったぞ。指一本だけな」
「え゛っ……!?」
えええええっ!!指一本だけっ!?結構いっぱいいっぱいですけど!?
「……ぅそん……っ……」
ってことは、まだそれよりも太いのがそこに入るとおっしゃる!?
いやいやいや、ご冗談はおよしなさいって!絶対無理があるからっ!そもそもそこは外から何かを入れるような場所じゃないはずだぞ!?ほら、みんな一旦冷静になろうぜ!?――
パニクったオレがぐるぐると考えながら顔面蒼白で涙目になっていると、由羅がもう片方の手で頭を撫でつつオレの涙を舐め取った。
「綾乃、大丈夫だから落ち着け。痛くはないだろう?」
「いた、くはないけ……ど……」
たしかに……なんかぬるぬるで滑りがいいせいか、ガキの頃に座薬入れられた時よりは痛くない気がするけど……でも他人にそんなところをいじられるなんて初めてだから、違和感が半端ないっ!
しかも落ち着いてくると由羅の指が出たり入ったりしている感覚がダイレクトに伝わって来て……それなのに、徐々に頭がフワフワしてきてもう気持ち悪いのか気持ちいいのかわからなくなってきた。
「んあっ……っ……ゆらぁ……もぅ、ゆび……い、からっ……オカマしゃんが……もう挿入 れてもだいじょ~ぶって……」
「バカを言うな!いくら霊 が先に解 してあるといっても、綾乃は初めてなんだからいきなりはキツイだろう?」
え、やっぱりいきなりはキツイのかな?……だけどさ、指は痛くなかったし、キャサリンも大丈夫だっていってるし……ローションとかつけてればあんまり痛くねぇのかも~!なんて……
そりゃまあ、本当はまだ怖いけど……でもなんか指だけで若干気持ち良くなってきてる自分がイヤなんだよ!……もう早く終わらせたいっ!
『ちょっと!誰がオカマさんよ!?ちゃんとキャサリンって呼んでちょうだい!?ってもう聞こえてないかしら……?まぁでも、アタシはいつだってすぐにぶち込んでもらえるようにちゃんと準備するから、本当にそんなに丁寧に解 さなくていいのに……律儀というか真面目というか……』
キャサリンがひとり言を呟きつつちょっと呆れたように微笑んで由羅を眺めた。
「ぅ~~……ゆあ……も、それやらぁ……はやく……ゆぁのいれて……?」
「~~~っ!くそっ!指一本で半泣きのクセに……あ~もう!……言っておくが挿 れたら途中で止まってやれないからな?」
「ん……い、ぃからぁ……も、いれろって!――」
オレは半分朦朧としながら放ったこの言葉を数秒後にはしぬほど後悔することになったのだった……
由羅のユラさん……マジ凶器……――(虚無顔)
***
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