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癒しのお憑かれ温泉旅行 第301話

「~~~っやめ……由羅っ!どこ触って……っぁ……ちょ、待て待て!当たってる!当たってるってば!なんでおまえ……」  そんなデカくなってんの!?  怒ってるのか興奮してるのかどっちなんだよっ!?  っていうか、なんで興奮してんの!? 「綾乃が煽って来たくせに何言ってるんだ?」 「オレが煽って?……」  ませんけどぉおおお!? 「ち、違うって!だからさっきのはあの、キャサリンさんが言うのもオレが言うのもどっちも気持ち悪いだろってことを言いたかっただけでですね!?由羅を煽るつもりはなくてあの、こらっ!胸を(まさぐ)るなっ!ちゃんと話聞けってばっ!……ぅ゛~~~っ!」  服の中に入って来ようとする由羅の手を上から必死に押さえていると、首元に口付けていた由羅がちょっと顔を起こした。  その顔がいつもの倍怖い……death(デス)!  圧がスゴイ、圧がっっ!!  由羅さん!眼が据わってますよおおおお!? 「綾乃の方こそちゃんと話を聞け!私は綾乃本人から聞きたかったと言ったんだぞ?顔や声が同じでも、色情霊(他人)と綾乃が同じなわけがない!そもそも、好きな相手から誘われれば喜びこそすれ、気持ち悪いだなんて思うはずないだろう?」 「えっと、それはその……あの、ご、ごめんなさいいいいいいいいいいいいっっっ!!」 「謝らなくてもいい。それよりも……その通りにしてやるからもう一回言ってみろ。……ほら、私ので綾乃の奥をなんだって?」  由羅がオレの頬をペチペチと軽く叩いてそのまま指を喉元から腹までツツッと滑らせた。   「……ッん、はっ……っ」  由羅の指が這うとその部分だけじゃなくて全身がゾワゾワする。  その度に変な声が漏れそうになるのを必死に堪えた。  え……っと……え、由羅なんて言った?その通りにって……?  ってことは……由羅のを――……?  さっき自分が由羅に放った言葉が頭の中をぐるぐると回った。  え?無理っっっ!!! 「おおおおお断りしますぅうううううっっ!!ごめんなさいっ!すみませんっした!オレが軽率でしたあああああっ!」  全力で謝り、慌てて由羅からの脱出を試みる。  ……が、 「私が逃がすと思うか?」 「……ぁ、や……ヒァッ!?」  逃げようと暴れるオレを押さえつけて、由羅が大きくなった股間をオレの股間に擦りつけて来た。   「ぁっ……ちょ、待って由羅っ!マジで無理!ヤダってばっ!」 「綾乃、温泉でも少し話したと思うが、私は綾乃に関してはかなり我慢して抑えてるつもりだ」 「……え?……あ、はい……」  大騒ぎをしているオレと違ってやけに落ち着いた口調の由羅が逆に怖い……  こんなに冷静な顔してるくせに由羅の股間は完全に臨戦態勢に入ってるとか……どうなってんだよ!? 「今日にしても、温泉で綾乃に無理をさせたから謝罪したかっただけなんだが……私の気持ちを知っていて(もてあそ)ぶようなことをしてこられるのはさすがに……許し難い」 「だからごめんってばあああっ!そんなつもりはなかったんだって……」  由羅は抵抗するオレを軽くあしらいつつ器用に服を剥ぎ取っていく。  なんでそんなに脱がすのが上手いんだよ……って、莉玖かああああああっ!  なんだかんだで由羅は毎朝ぐずる莉玖の着替えをさせている。やけに手慣れているのはそのせいかもしれない……っていうか、絶対そのせいじゃんかああああっ!  くっそ、こんなところで育児スキルを発揮すんなっ! 「そんなつもりはなかったって、じゃあどういうつもりだ?私の反応を見て楽しむつもりだったんだろう?」 「ち、ちが……ヒッ……待って、マジでオレの……オレの尻はダメだって!やっと治ったばっかりなんだからぁああっ!」  いつの間にか裸にされていたオレは、由羅の手が股間に伸びてきたのを感じて半泣きで叫んだ。   「温泉の時みたいに動けなくなったらオレ仕事出来ないじゃんかああああああああああっ!ここには尻を癒してくれる温泉がないんだぞ!?」  オレが動けない間、莉玖は誰がみるんだよっ!?  っていうか……オレ一応家政夫なのに……仕事出来なきゃここにいる意味ねぇだろ……!? 「……なんだ、そんなことか」  オレの必死の訴えに由羅がちょっと動きを止めて苦笑した。 「なんだとはなんだよ!?オレにとっちゃ死活問題で……んんっ!?……」  のんきに笑っている由羅にムカついて思わず由羅の胸倉を掴んで怒鳴ると、由羅はニヤッと笑ってすかさずオレの口をキスで塞いで来た。  違うっ!キスがしたかったわけじゃねぇんだよぉおおお!!  なんで自分から顔近づけていったんだよオレのばかぁああああ!! 「ふぁっ……っん……」  オレの尻を守らねば!と思うのに、由羅のキスがさっきまでのちょっとイラついた強引なキスから深くて優しいキスに変わったせいで力が入らない。  ムカつくけど由羅のキスは……くっそ気持ちイイ……  オレが大人しくなったところで由羅が口唇を離し、オレの頭を軽く撫でた。 「ちょっと落ち着いたか?綾乃、大丈夫だ。師匠も言っていただろう?は霊に乗っ取られた後遺症だと。普通に一回ヤったくらいじゃあんなにならない」 「……んぇ?……あ、そうか」  そういえば、そんなこと言われたな…… 「それに、準備もしていないのに無理やり突っ込んだりしないから安心しろ。綾乃がバカなことを言って私を試すようなことをするからちょっとからかっただけだ」 「……ぇ」 「だが、冗談でもああいうことは軽々しく口にするな。次やったらどうなるかわからんぞ?」 「は、はいぃいいい!!」  オレは頭がもげそうなくらい頷いた。  別に冗談で言ったわけでも、由羅を試そうとしたわけでもないんだけどな。  だって、オレみたいなのに言われたら普通は気持ち悪いだろう?  でも、由羅は嬉しい……ってことなのか……あれ?いまさらだけど、こいつ実は趣味悪いんじゃないか?ぶさ専なのかな……オレを好きだって言うことはそういうことだよな!?  新たな発見に、由羅の顔をマジマジと見つめる。 「なんだ?私の顔に何かついているか?」 「え?あ、いやいや、何も……っていうか、あの~……由羅さん?じゃあなんでオレは裸にされてるんでしょうか?」 「そりゃまぁ……突っ込みはしないが、コレの責任は取ってもらう」    由羅がオレの目の前で軽くひとさし指を振って、その指で自分の股間を差した。  指につられて一緒に視線を下げてしまったオレは、立派に膨らむ由羅の股間とさっきのキスで大きくなった自分のモノをもろに見てしまった。   「せ……せきにんって……?あ、えっと……あの……ぬ……ヌきましょうか?」  尻に突っ込まれるのに比べれば……手でするくらいなら…… 「いや、貸してくれればいい」 「へ?貸す?」  何を? 「綾乃にヌいてもらうのは響きとしては魅力的だが、綾乃のやり方じゃいつまで経ってもイけそうにないからな」  あ、いま地味にディスったな!?  以前ひとりでしているところを見られた時に、由羅に「下手くそ」と言われたのを思い出した。 「下手で悪かったなっ!!」 「別に悪くはないが……なら、練習してみるか?」 「練習?」 「教えてやるから、覚えてみろ。あぁ、それとも……童貞の綾乃には難しいか?」 「ば、バカにすんな!童貞関係ねぇだろっ!?それくらいオレだって覚えられるし!!」 「ほぅ?」 「出来ねぇって思ってるだろっ!?」 「いや、綾乃が何回で覚えられるか楽しみだなぁ」 「んなもん、一回で覚えてやるしっ!!」 「それじゃあ……」  にっこり笑った由羅が、オレを抱き起した―― ***

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