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空からのプレゼント 第314話

「あ、そうだ。由羅ちょっと来て!」  話し合いの後、オレは莉玖を莉奈に任せて由羅を連れ出した。 「あのさ……これなんだけど……」  ゲストルームに連れて行き、莉奈に託された例の手紙が入った封筒を由羅に見せた。  莉奈が手紙を書くことは由羅にも話してあると言っていたので、由羅も手紙の内容については知っているはずだが、一応簡単に説明をする。 「あぁ、莉玖に宛てた手紙だな。莉奈が書きたいと言っていたが……すごいな、たった一晩でこんなに……」  一通ずつ封筒の宛名を確認しながら由羅が感嘆の声をあげた。 「すごいよな……」  今の莉玖だけじゃない。  一年後、二年後……未来の莉玖に宛てて書かれた手紙だ。  どんな風に成長しているのか想いを馳せつつ書いていくのだから、急な思いつきでスラスラ書けるものではないはずだ。  莉奈はたぶん、普段から莉玖の未来についていろいろと考えていたんだろうな……   「それで?この手紙がどうしたんだ?」  由羅は封筒をテーブルに置くとベッドに腰かけた。 「あ、えっと……だから、これを莉玖に見つからないような場所に隠しておいて欲しいんだ。んで、が来たら、その度に手渡してやって欲しいんだってさ」 「隠すのはいいが、渡すのは綾乃が渡さなくていいのか?」 「……なんでオレ?」  オレはハテナマークを飛ばしつつ首を傾げた。 「莉奈は渡してくれと頼んだのだろう?」 「いや、莉奈には「これを莉玖に渡して欲しい」って言われただけで、渡すのかは特に指定はなかったと思うけど……それにやっぱりそういうのは父親である由羅が渡してやるべきだろ?」  莉奈がオレに先に話したのは、たぶんオレのレターセットとかを使ったからその使用目的を説明するついで……っていうだけだ。 「私から渡して欲しいなら、私が帰宅してから莉奈が直接頼んでくるはずだ」 「あ、そうか……って、いやいや、由羅は霊体の莉奈は視えないし話せないから直接頼むのは無理だろ!?」 「視えるし声も聞こえるぞ?」 「だから、それはさっき帰宅してからわかったことだろ?それまでは視えてなかったじゃねぇか」 「……それもそうか」  まぁ、それならどうして莉奈はさっきの話し合いの時に由羅に言わなかったのかってことになるんだけど……莉玖のことでショックを受けてたみたいだし、それどころじゃなかっただろうからな…… 「とにかく、これは由羅がちゃんと保管しておいてくれ。まぁ、心配しなくても渡す時にはオレも一緒に渡すからさ!」 「本当か?本当に綾乃も渡してくれるのか?」 「……え?あ、うん。も……もちろん……」  由羅が急に真剣な顔で聞いてきたのでちょっと戸惑う。  なんだ?なんでそんなに念押ししてくるんだ?だって莉奈からの手紙はどれも莉玖の節目とかのプレゼントだろ?ってことは、オレだってお祝いしてやりたいし、オレからも何かプレゼントしたいし……   「良かった!それじゃあ、これは寝室のクローゼットにでも隠しておこう」  由羅はオレの返事を聞くと、嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。  オレはよくわからない由羅の様子に軽く首を傾げつつ莉奈の手紙を箱に入れると、由羅に渡した。 ***

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