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働くパパはカッコいい? 第349話
テンパったオレは、由羅が巧みに言葉を弄ったことに気付く間もなく、数分後にはほぼ全裸に剥かれて横たわっていた。
***
「……っゆ……らぁ……きす、らけって……」
「ちゃんと私はくすぐりとキスのふたつしかしてないぞ?」
オレの胸の突起から口唇を離した由羅が軽く眉をあげた。
キスっつったら普通は口唇か、せいぜい顔面のどこかだろぉおおお!?なんで全身なんだよおおお!
それにくすぐるのだって、さっきまでの笑い泣きするようなくすぐり方とは全然違うんですけど!?
とは言え、好きにしていいと言ったのはオレだし、これは迷惑をかけたことへのお詫び代わりでもあるから……と、オレは悶々としながらも抵抗することなくされるがままになっていた。
だって途中で止めるのは逃げるみたいだし……男らしくねぇし!?
なんて……そんな無駄な意地をはっていた数分前の自分をビンタしたい……
由羅に「好きにしていい」だなんて言えばこうなるに決まってるだろぉ!?オレのばかぁああ!
由羅はオレが抵抗しないのをいいことに、微妙なくすぐり でオレの全身に指を這わせてはその後を追うように口付けを落とし、あっという間に服を剥ぎ取っていった。
全身……いや正確には、ほぼ全身だ。
ギリギリの際どいところまでいくくせに、肝心のアレには一切触れようとしない。
って、決して触れて欲しいわけじゃないんだけどな!?
……でも……由羅の熱い吐息や体温がアレのすぐ傍を掠 めていくせいで変に意識してしまうから、触れられてもないのに敏感に反応してしまう……
気付いた時にはもう全身に力が入らなくなっていた。
「も、やらぁ……イ……たぃ……」
「イっていいぞ?というか、さっきから軽くイってるだろう?」
「……んなこと……いわ…れても……っ」
「イっていい」と言われて自分の股間に手を伸ばしてみるものの、力が入らないので上手くできなくてもどかしい……
ぅ~……くそっ!このままじゃいつまでたっても……
「ゆ、らぁ……」
早くスッキリしたくて、チラッと由羅に助けを求める視線を送ってみる。
「すまないな。手伝ってやりたいが私はくすぐりとキスしか出来ないんだ」
由羅が全然すまなそうじゃない顔でにっこり笑った。
その顔を見てようやく由羅の狙いに気付いた。
こいつは~~~……っ!最初からそのつもりだったな!?
マジで性格悪いぃいいい!そんで、それにひっかかるオレもバカぁあああ!!
おまえ、あとで覚えてろよっ!?
明日の弁当で嫌がらせしてやるぅうううう!!
でも今は……っ!
「……から……」
「ん?」
「さわってい、からっ!……イかせろっ……!」
「ん~?」
絶対聞こえてるクセに聞き返して来るこいつの顔がホントに憎たらしいっ!!
「メイ、どうして欲しいんだ?」
「イ……イかせ……て、くださぃ~~っ!」
わかってる……由羅にこんなこと頼むとか……絶対に後で自己嫌悪になるって!
でも今はそんなこと考える余裕なんてないんですよぉ!
もう!なんでもいいからこの状態にした責任取れよぉおおお!!
「はは……わかったからそんなに睨むな」
「……んんっ、ぁ……――っ!」
したり顔の由羅がキスをしながら股間に手を伸ばして来た。
それまでよりも激しいキスに頭の中がぐちゃぐちゃになりつつも、無意識に腰を引いてしまう。
「こら、逃げるな」
「……ら、って……っ……」
「メイ、ヌくのを手伝うだけだ。自分じゃ出来ないんだろう?」
「……っ……」
半泣きのオレの様子に由羅が急に優しい声になった。
親切そうに言ってるけど、オレをこの状態にしたのはおまえだからな!?
「触れてもいいか?」
「ぅ……ん……っ――」
頭の奥では由羅に反抗しまくっていたものの、自分じゃどうにもできないので由羅に任せるしかない。
それに……悔しいけど自分でするより由羅の方がうまいし、気持ちイイし、由羅に触れられるのはイヤじゃない。
イヤじゃない……んだよな……
だから困る……
オレは男なのに……由羅にこのまま抱かれてもいいかもとか思っ――……
「――メイ?寝たのか?」
「……っ……」
まだ寝てないけどもう寝る!
由羅のおかげでスッキリしたオレは、変なことを口走ってしまう前にと早々に意識を手放した――
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