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4話
保健室の扉がガラガラ音を立てた。
布団の中に潜り息を殺した。学校で誰かといるとなにかされる気がしてならなかった。
足音が徐々にこちらに向かって大きくなっていき、カーテンがシャーと音を立てて開かれた。
布団から目だけを出すと仁山が立っていた。
仁山が聞きたいことがあるんだけど、と言い始めてから深呼吸して
「お前って、子役でいた月島悠星ってやつだろ?名前違ぇけど」
即座に「違うよ」と答えた。
顔も隠れているし苗字も違うし身長も伸びたし彼の勘違いだと思って欲しかった。
「首の三角形にあるほくろが似てて、あと下の名前も同じだし。顔もよく見たら似てるな〜って思ったんだよね」
僕は背中に冷たいものを感じた。
こんな所でバレたら格好の餌だ。
それに過去のことを掘り返されると、当時の違和感や父の事を思い出すから絶対に嫌だった。
「そんなの偶然だよ…」
「分かったのはそんなんじゃないけどね。立花の中学の時の卒アル見ちゃったよ。立花の同中の子の家遊びに行った時に見つけちゃった」
完全に終わった。中学の卒アルは髪型も名前もあの頃のままだが身長は伸びており見る人が見たら気づくだろう。
僕は即座にベッドから飛び出たが、目の前にいた仁山に腕を掴まれた。
そして仁山が
「ねえ、立花取引しよう」
満面の笑みを浮かべて彼は言った。
「どんな?」
「ばらさない代わりに抱かせてくれない?」
「は?」
意味がわからずそのまま固まってしまった。
「まあ正直、嘘でも本当でも俺としては言いふらすことに旨味があるんだよね。でも立花を抱けるならその方がいいや」
僕は思考を取り戻したが、彼の言うことを聞く方が幾分マシと思った。
黙ったまま小さく頷いてしまった。
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