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8話 仁山翔太

学校には変化が訪れた。 いじめの標的にされていたやつが高校を辞めた。 まあ、生徒も教師も見て見ぬふりをしていたし空気感に勝てるやつなんて一人もいない。 俺もなにかしてやりたいと思うが、いじめを助けてやれるほどの力も金も持ち合わせてはいなかった。 空気感を作っていた一人として、きっと彼の心の中で俺は地獄に落とされただろう。 次の標的となったのは、立花だった。 立花はいじめに泣くことも喚くことも無くただそのまま過ごしていた。 血が出ても「気にしないでください」と言って過ごしていた。 彼は金で解決すると言った手っ取り早い方法で暴力をかいくぐっていたがその場しのぎにすぎないことは分かった。 俺は彼を毎度黙って保健室に連れていくだけの傍観者になっていた。 前付き合っていた彼女の家に行った時にたまたま落ちていた卒アルを見た。 月原悠星という名前の生徒を見た。髪型は違うが面影があった。 彼女は「あ、その子芸能活動してたんだよね。割と有名なの〜」と言っていた。 家に帰って、名前で検索した。 動画が直ぐに見つかり、彼のどこかで見たことある雰囲気はこれかと合点がいった。 動画内で、首元に3つのほくろと言っていたのを保健室に運ぶ時にそっと見た。 本人だなと確信を持った。 その材料を使って気になっている相手の弱みに付け込み抱いた。 最低だな、と実感させられた。 それと同時に、今までで1番よかったと思わされたことにも悲しくなった。 立花にとってあれはレイプだし俺は情状酌量の余地もない。

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