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9話

仁山は事が終わったあとに体を綺麗に拭いてくれ、「ごめん」とだけ謝って黙って家の近くまで送ってくれた。 あんな罪悪感でいっぱいの顔を見たら一発殴ってやろう、とかそんな気持ちは失せた。 次の日学校に行っても、僕の噂は飛び交っていなかった。 いつも通り、殴られたし金も取られた。 ただ、その日から仁山は目も合わせてくれなくなった。 そして、日常は何気なく過ぎていった。 過ぎ行く日々の中でいじめというのは、エスカレートしていくものだと実感させられた。 今までの刺激じゃ足りなくなってくるものだ。 放課後の体育倉庫に連れ込まれて 「なあ、男でもやれるらしいぜ?ネットで見たんだけどさ〜」 いつも僕をいじめる集団の中の田中に言われた。 「試してみる?」 僕はそんなことを口走っていた。 彼らのされるがままというのはこんな状況下でも癪に障ると思う自尊心があったことに驚いた。 ‘抱かせてやってる’という優位な気持ちでいれるなら、そんな諦めの気持ちもあった。 男だし妊娠して責任とかの心配もないから減るものもない、そう考えてしまった。

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