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11話
目覚めた時には白い天井があった。
「エヴァみたい……」覚醒しきっていない脳みそでそう呟いていた。
仁山が心配そうに僕を眺めていたのが見えた。
(彼を無駄に優しく思ってしまう僕は愚かだな)
「ああ、目覚めたか。ここは保健室だ。
とりあえず制服汚かったから水道で洗って干してる。あと薬とか手当とかもろもろ勝手にした」
「仁山は優しいね。ありがとう」
「お前、無防備だな。ベッドに寝ているやつなんてすぐに襲えるのに」
「そうだね。試す?」
「やだよ。ボロボロのやつ抱くほど枯れてねえし」
その日は仁山におぶさる形で家の近くまで連れていってもらった。
「ありがとう。今日のことはお礼しなきゃね」
仁山は大きなため息をついたあとに
「お前、マジでそういうのやめた方がいい。自分の身は自分で守れ。俺はなんにも味方してやれない」
「そっか。でもお礼は絶対する」
「馬鹿だな」
そう言って別れた。
これが夏休み前最後の会話だった。
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