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14話
季節は過ぎて、凍てつくような寒さのある季節が訪れた。
僕の家庭科の事件以降、クラスの人に関わりを持たれることは無かった。
先生達もあんなことが次あれば人が刺されるのではないか、と怯え警戒していたこともあって表立ったいじめもなくなった。
ひとつ変わったといえば仁山と帰るようになったことだ。
仁山とはよく話があった。
好きなバンド、本の話、数学の解法の話まで。
「なあ、今度の学期末の勉強してるか?」
「そこそこ。仁山に勝てるか微妙だし」
「お世辞はいらねぇよ。俺、立花に物理と化学は負けてるし」
背が高くて運動神経が良い、学年一位の成績そんな彼は学校一の嫌味の男だと思う。
僕も仁山もセックスしたあの日のことは無かったことにしている。
あの日のことを掘り起こして今の関係が壊れるのがお互いに怖い、そんなとこだと思う。
他愛もない会話で今が永遠に続くと思ってしまう、生ぬるい関係が心地いい。
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