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それは必然だったのかもしれない。2

ガチャリ。 シャワーの音が止み、こちらへと気配が近づく。 来る。 柄にもなくドクリと心臓が騒ぐのを感じる。 静かに扉が開かれ、現れたのは 「あ、オニーサン起きた?」 驚くほどの美人だった。 これは……男か? 女か? 見た目では判別出来ない程、その人は中性的で美しい。 俺は32年の人生で初めてフリーズした。 「あれ?オニーサン?おーい」 美人の声が遠のく中 俺の脳内では緊急会議が行われていた。 『何だ、あの美人は』 『喰ったのか、ヤッちまったのか?』 『こんな美人、俺が放っておくわけが』 『落ち着け。まだそうと決まったわけじゃないだろう』 『いや、しかしだな』 脳内では何人もの俺があーだこーだと議論している。 もし本当に酔って知らぬ間にあの美人とイイコトをしていたのだとしたら 憶えていないのは申し訳ないし、惜しいことをしたと思う。 何故憶えていないんだ。俺の間抜け。

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