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それは必然だったのかもしれない。3

脳内会議が白熱する中、突然耳元がゾワっとした。 「!?」 はっとしてそちらを見れば美人が耳元に口唇を寄せているではないか。 脳内会議があまりにも白熱していて気配に気づかなかった。 「あは。オニーサンてばやっとこっち見た」 改めて見るとやはり驚くほどのに綺麗な顔をしている。 ドアップでも耐えられるくらいに。 色白で漆黒の髪、色素の薄い切れ長の瞳は長めの睫毛で縁取られている。 口唇はほんのりと桃色に色付いていて見た目は俺の好みど真ん中だ。 これはもしかしなくても、そういうことだろう。 俺は嫌な予感を確信に近づけながらも美人に訊いた。 「あの、君はその、俺と寝た、のだろうか…?」 すると美人は一瞬ポカンとした後、にこりと笑った。 「オニーサン、憶えてないんだ」 無音で頷く。 美人は口唇に弧を描き 「オニーサン、凄かったんだよ。それはもう」 うっとりとそう言った。 そんな美人とは対照的に俺は青褪めていった。 こんな美人を抱いておいて記憶がないなんて。 いや、そんなことは問題ではない。 声を聞く限りこの子は男だ。バスローブから覗く胸も平らのようだし間違いなく男だろう。 しかし、若い。いや若いどころじゃない。 ハタチか下手したら未成年か。

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