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それは必然だったのかもしれない。4

もし、この子が未成年ならば 俺はそんな子に手を出した犯罪者ということに…! しかも酔った勢いでという最悪のシチュエーション。 「あの、すまない。大変申し訳ないが何も憶えていなくて…。だが、許されないことをしたと思っている。本当にすまなかった!」 俺は精一杯の謝罪をした。 何も憶えていないとはいえ、きっと俺が悪いのだ。 すると美人からは意外にも、笑い声が降ってきた。 「あっはは。オニーサン面白いね。僕何も言ってないのに」 ん? 何故、そんな反応ができるんだ。 君は俺に無体を強いられたんじゃないのか。 俺が再び固まっていると それが可笑しかったのか彼は腹を抱えて笑いだした。 「あははははっ。ほんと、面白すぎ。ふふ。もう、勘弁してよ」 「な! 笑いすぎじゃないのか、君」 俺は犯罪者になったかもしれないと焦っているのに。 「はー、笑った。ごめんごめん、ふふ」 彼はひとしきり笑った後、こちらに向き直りベッドの上で居住まいを正した。 「初めまして。僕は涼。28歳です」 「お、俺は黒沢俊一。32歳だ」 丁寧な自己紹介に思わず俺も名乗ってしまった。

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