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それは必然だったのかもしれない。12
まるで猫だな。
俺も少し寝るかとベッドへ身を沈めようとすると
ポソリと涼くんが何か言ったのを聞き取った。
「うん? 涼くん、何か言ったか?」
耳を傾ける。
「僕も久々に気持ちよかったし、その、…………」
最後の方がよく聞こえなかった。
「ああ、俺もすごく良かった。その、最後の方もう一度言ってくれないか」
「だから!また、相手してあげてもいいよって!」
急な大きな声に驚く。
そしてその内容にも。
「僕、寝るから!」
そう言った涼くんを見れば
耳と項まで真っ赤になっていて
それにつられて俺まで赤くなっていくのを感じる。
何てことを言って残すんだこの子は。
俺は片手で顔を覆い横目で彼を見た。
もうスヤスヤと寝息を立てている。
はぁ、寝れそうにないな。
涼くん、早く起きてくれ。
どうやら俺は君に伝えなければならないことができたようだ。
俺はその日、一晩の恋の幕を開けた。
終わり。
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