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とある日の黒沢俊一。 1
黒沢俊一(32)は××製薬に勤務する普通のサラリーマンである。
彼の朝は早い。5:30に起き、700には出社する。
部長職なのだからもう少し遅くてもいいと思うのだが、黒沢は営業部の中でも1,2を競うほど出社が早い。
仕事が残っている訳でも、遅い訳でもない。むしろ逆だ。
だが、黒沢は忙しい。
デスクワークは勿論、外回りに会議、打合せetc…。
今日の予定は午前中に会議が1つ、午後には開発部との打合せとなっている。
予定を確認し、溜め息を吐いた。
黒沢はどちらかというと、外回りの方が好きだった。
営業成績が良かった為に、この若さで今のポジションを任されたが
正直、彼にとってはどうでもいいことであった。
役職など、自分の成績の結果であり上司からの評価でしかない。
故に彼を面白くないと思っている連中も多い。
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