44 / 106

とある日の黒沢俊一。 1

黒沢俊一(32)は××製薬に勤務する普通のサラリーマンである。 彼の朝は早い。5:30に起き、700には出社する。 部長職なのだからもう少し遅くてもいいと思うのだが、黒沢は営業部の中でも1,2を競うほど出社が早い。 仕事が残っている訳でも、遅い訳でもない。むしろ逆だ。 だが、黒沢は忙しい。 デスクワークは勿論、外回りに会議、打合せetc…。 今日の予定は午前中に会議が1つ、午後には開発部との打合せとなっている。 (1日内勤で終わりそうだな…) 予定を確認し、溜め息を吐いた。 黒沢はどちらかというと、外回りの方が好きだった。 営業成績が良かった為に、この若さで今のポジションを任されたが 正直、彼にとってはどうでもいいことであった。 役職など、自分の成績の結果であり上司からの評価でしかない。 故に彼を面白くないと思っている連中も多い。

ともだちにシェアしよう!