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とある日の黒沢俊一。 3

さして中身のない会議を半分聞き流しながら、黒沢は少し前のことを思っていた。 会議はもう終盤で、進行役がまとめにはいっている。 簡単に言うなら報告会だろうが、こんなことで会議など意味はあるのか。 もっと有効的に使うべきではと黒沢は思う。 しかし、一応上が言うので黙っている。 会議が終われば時刻は正午過ぎ。 部署へ戻れば人はまばら。 黒沢の戻りに1人の部下が気づいたようだ。 「黒沢部長!お疲れ様です!」 人好きしそうな笑顔で近づいてくるのは 「あぁ、お疲れ。高橋」 営業のエースで自称·黒沢部長の右腕の高橋結弥(たかはしゆうや)。 人の良さそうな笑顔と持ち前の明るさ、トーク力で成績は良く、黒沢も一目置いている人間だ。 「今からお昼ですか? 良かったらご一緒しません?」 「ん?あぁ、別に構わんが」 少々、いや、かなり馴れ馴れしくはあるが。

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