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とある日の黒沢俊一。 4

高橋は何かと言えば「部長、部長」と黒沢の後を着いて回る犬のような人間で、周囲からも 『黒沢部長のワンコ』と呼ばれている。 黒沢の耳にもそれは届いており、以前 『俺はお前の直接的な上司じゃないんだから、やめなさい』と注意したことがあった。 しかしその時の高橋が飼い主に怒られた犬のような顔で、1日仕事にならなかったので以来好きにさせている。 仕事ができない訳ではないし、黒沢も可愛い部下だと思っている。 問題があるとすれば、高橋が黒沢を慕いすぎているということだろうか。 高橋の黒沢への敬愛は周知の事実だが 一部の女性社員から『ご主人様とペットの禁断愛』などと噂されている。 これも黒沢に届いており、どうしたものかと思っている。 そんな事実はないし、高橋にも失礼だろうと思う。 黒沢はバイ・セクシャルであるが、高橋は好みではなかった。 爽やか系で可愛い顔をしているが何せ背が高い。 黒沢も高い方だが、それ以上である。 故に、高橋のことは可愛い部下としか見れないのである。

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