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とある日の黒沢俊一。 7
「高橋」
呼ばれ、恐る恐る顔を上げる。
美しく微笑む上司と目が合い、ヒュッと息を飲む部下。
「そうか、そんなに俺の手はお前の好みだったのか。 それは悪いことをした。ほら、存分に見ていいぞ ん?なんなら、触れてもいい」
いやにゆっくりした動きで高橋へ手を伸ばす。
高橋がその手を取らない、いや、取れないのを解った上での行動である。
当の高橋はプルプルと震えていた。
それでも黒沢は止めようとせず、その手は高橋の顔に触れた。
犬や猫にするように顎の下を擽り
少しずつ上へ滑らせ耳に触れ
耳朶を擽っていく。
暫く高橋の耳朶を堪能した黒沢だったが、満足したのか再び下の方へと滑らせる。
ツ、と手を止めた先は、唇。
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