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とある日の黒沢俊一。 17
簡素なメッセージ。
けれどこちらを労うような内容に柄にもなくときめきを覚える。
(君の方が大変だろうに)
と黒沢は思う。
青年、涼の職業は健全な営業をした不健全な店。
矛盾した言い方だが、性的サービス込みのゲイバー、所謂ゲイ風俗のキャスト。
バーを楽しむ分には特に必要ないが
キャストとの一夜を楽しむためには会員登録が必須。しかも、完全予約制、一見さんお断りのため
中々に敷居の高い店だ。
黒沢はそこの客でもなければ恋人でもない。
片想いをしている身としては心配だが
仕事を辞めろと言える理由もない。
«こんばんは。ありがとう。 俺はもう少しで帰るところだよ。 涼くんの方こそ、身体に気をつけて。いってらっしゃい。次会えるのを楽しみにしているよ。 黒沢»
せめて、このくらいの気遣いはと、涼へ返信した。
送信した後、顔が緩むのを自覚する。
(さて、残りを片付けるとするか)
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