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ここが、スタートライン 3
来てしまったものは仕方ないので母を部屋に上げる。
昨日買ったアレやコレはきちんと寝室に仕舞ってあるはず。
見られてまずいものなどない。
急に親が来て慌ててエロ本を隠す思春期の男のような気分で内心焦っている。
「母さん、どうしたんですか、急に」
「あら、息子の家に突然母が訪ねてはいけない?」
「い、いえ。でも用がない訳ではないでしょう?」
急にやって来て何故か不機嫌な母に気をつけながら、お茶を出しつつ用件を聞く。
用事もないのに来るような人ではないだろう。
お茶を一口飲んでひと息ついてから母は口を開いた。
「俊一さん、あなたお付き合いされている方はいるの?」
「ぶッ!げほ、げほ。き、急に何を…っ」
「まぁ汚い。で、いるの?」
何を言い出すのかと思えば、また突拍子もないことをこの人は。
思わず飲んでいたコーヒーを吹き出した。
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