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ここが、スタートライン 9
「呼んだのは黒沢さんなのに…。 仕事、無理したのかな…?」
涼くんはソファの傍に座ったのだろう。声が近い。
見られているのか視線を感じる。
どんな顔で見られているのか気になるが
ここは我慢だ。
得意(?)のポーカーフェイスで寝たフリを続ける。
するとソファに軽く衝撃を感じた。
同時に溜息が聞こえる。
涼くんが腕をクロスさせその上に頬を乗せたのだろうか。
相変わらず熱い視線を感じる。
「はぁ、キレーな寝顔だなぁ、ムカつくくらい。でも、すき」
俺が寝ているからと小声だがはっきりと聞こえる心地好い声。
涼くんがそう思っているとはな。
この顔に生まれてよかった。
思わず顔がニヤけてしまいそうだが、耐える。
もしかしたら、色々聞けるかもしれん。
「気持ち良さそうに眠ってるけど、今日少し肌寒いし、このままじゃ風邪引いちゃうよね… んー、あ」
そう言って涼くんはどこかへ行ってしまった。
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