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ここが、スタートライン 10

残念だ、そろそろ起きようかと思っているところに涼くんが戻ってきた。 寝たフリ続行。 ふわり。 肌触りのいいタオルケットを掛けられた。 「これで大丈夫かな。 でも、寝室にあんな物を置いておくなんて、黒沢さんてばえっちだなぁ。アレで僕にナニするつもりだったのかな、このオニーサンは」 優しいなと思ったのも束の間。なんて恐ろしい子だろう。 アレはちゃんと隠してあったはずだぞ。 「寝てたらできないよ…。仕方ないけど。 ご飯でも作って待ってようかな……ん?何だこれ」 小悪魔のように呟いて立とうとした涼くんは何かを見つけたようだ。 「え、これってもしかして、お見合い写真?」 涼くんは俺が寝ている(フリだが)ことも忘れ声を上げた。 そういえばテーブルに出したままだったことを思い出す。 思わず上げてしまったと俺の方を見てから寝ていることを確認すると座り直したようだ。 「どうして黒沢さんが…。もしかして、お見合いするのかな?」 心底驚いているのか、声から動揺が見て取れる。

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