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ここが、スタートライン 11
何故涼くんがそんなに動揺しているんだろう。
起きようかと迷ったがとてもそんな雰囲気ではない。
「そっか、黒沢さん格好良いし、お見合いの一つや二つあるよね…。 この人、凄く綺麗だな。……結婚しちゃう、のかな」
なんだか声に元気がなくなっていくようだ。
大丈夫だ涼くん、君のほうが美しい。
抱きしめたいが、どう思っているのか先が気になって仕方ない。
「黒沢さん、こういうコが好みなのかな…。
バイだって言ってたけど、僕とは遊びだろうし…何より僕は、風俗店で働いているビッチだし
黒沢さんが飽きたら終わり、だろうな…」
「僕とこの人とじゃっ…違いすぎる…っ」
どんどん声が小さくなりやがて嗚咽が混ざって
聞いていられず、俺は思うより先に体が動いていた。
「えっ、くろさわさん?」
俺が抱きしめた事に驚いた涼くんは肩をビクつかせた。
泣いている所を隠したいのか逃れようと身動ぐ。
抱きしめる腕に力を込める。
「涼くん」
耳元で名前を呼べば大人しくなった。
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