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ここが、スタートライン 12

涼くんが落ち着くのを待ってこれまでの経緯を説明した。 「俺としてはこの見合いは形だけにしたいんだ。会うだけ会って断ろうと思ってな」 涼くんの目を見てそう言えば彼は目を瞬かせた後 脱力しソファに倒れ込んだ。 「涼くん…?」 「………んだ」 「うん?」 何か言ったようだが、くぐもってよく聞き取れず聞き返す。 「なんだ、よかった。 じゃあ結婚しないんだね?」 不安げな顔でこちらを向き、涼くんはそう問う。 どうしてそんな顔で、そんな事を聞く? 最初から断る気でいるが 俺が結婚すると何か不都合でもあるのか 涼くんの真意を探るように返した。 「俺が結婚すると何か問題でも? 俺の結婚と、君は関係ないだろう?」

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