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ここが、スタートライン 13
我ながら意地の悪い返しだと思う。
だが俺は君の気持ちが知りたいんだ、涼くん。
じ、と無表情を作り涼くんを見つめると
不安げな表情のまま固まってしまった。
やりすぎたかと、冗談たと言おうと口を開きかけた時だった。
少しして俯いたかと思えば
ばっと勢い良く顔をあげ
「だって!黒沢さんが結婚なんてしたらこの関係だって終わるし、もう黒沢さんとえっちできないでしょ!」
と捲し立てるように叫んだ。
あまりの勢いに今度は俺が固まる番だ。
なんてことを言うんだこの子は。
言いたいことを言って気が済んだのか、涼くんはソファに突っ伏してしまった。
自分で何を言ったのか自覚したんだろう。
普段は白い項が真っ赤に染まっている。
普段は気位の高い猫のような涼くんがたまに見せるこういう反応が俺を離れられなくしているんだ。
可愛い、愛しい。
早く俺のモノにしてしまわないと。
さて、この可愛い猫の機嫌をどうとろうか。
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