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ここが、スタートライン 19

電話ではなくメールのようだ。 差出人は母で内容は見合いの日時。 最後に念押しとでも言うように «くれぐれも、逃げないように»とあった。 どれだけ俺を信用していないんだ、あの人は。 «了解しました»と短く返して携帯をベッドへ放る。 腹は括ったと言っても面倒なことに変わりないので思わず顔をしかめる。 「黒沢さん、シャワーありがと。って……どうしたの?」 ベッドに腰掛ける俺を覗き込むようにして涼くんが見つめてくる。 風呂上がりで上気した頬が色っぽい。 冷めた熱がまた上がってきそうになるのをぐ、と抑える。 「いや、母から連絡があってな。見合いの日取りが決まったらそうだ」 苦笑いになっているであろう顔で大した事ではないと伝える。 「腹を括ったはいいが、どうにも気が重くてな…はは…」 「なんだ、そのことか。まぁ、面倒だよね。 で、いつなの?」 涼くんも苦笑いという感じで俺の隣に腰掛けた。

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