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ここが、スタートライン 20

何故そんな事を知りたいのか知らないが 隠す必要もないので答える。 「来週の日曜日13時からで場所は××旅館のもみじの間だそうだ」 涼くんはふーんとだけ返事をして荷物をまとめだした。 「とりあえずシャワー浴びてきなよ。その間にご飯作っておくから」 俺は促されるまま寝室を追い出された。 ウツウツとした気持ちを抱えたままシャワーを浴びると程よい温度が心地好い。 頭からお湯を滝行のように浴びると思考がスッキリとするようだ。 見合いのこと、実家のこと、涼くんのこと、今後のこと。 一つひとつ順を追って考えることができる。 明確な答えなど出ないが整理することができた。 まずは来週の見合いを片付けてからだ。 普段通りやれば、やれないことなどないだろう、黒沢俊一。 後はそれから考えればいい事だ。 大分頭がスッキリしたところで浴室を出ると 今日も美味しそうな食事が並んでいて ウツウツとした気持ちはどこかへ行ってしまった。 「さらっと食べられるように冷やしたぬきうどんにしたよ」 ふわりと笑う涼くんに俺もつられて笑った。

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