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ここが、スタートライン 22
何事だ!?と一斉にそちらを見る。
あの母でさえ目を見開いているほど。
襖を開けて入ってきたのは
可愛らしい女性。
ゆるくウェーブのかかった黒髪のロングヘア。
スラリとしたモデルのような等身。
肌は色白で、長い睫毛に縁取られた瞳は少し切れ長で美しい。
黒のワンピースに白いカーディガンがまた可愛らしい。
思わず抱きしめたくなるその人に目を奪われる。
「もー、俊一さんたら私がいるのにお見合いなんて、イケナイひと…」
声まで可愛いとは。少し低めだが落ち着いていて、良い。
そう思っているとその人は俺にゆっくりと近づいてくる。
それより今俺の名を呼ばなかったか。しかも下の名前を。
知り合いにこんな可愛い子…いや、そもそも今は女性とそんな関係になっていない。
しかしその女性は俺の前にくると屈んで
「そんなひとには、お仕置きね…」
そう言って俺の顔をむんず、と掴むと顔を近づけ唇を重ねてきた。
「んっ」
この距離で見ても綺麗な顔立ちだと分かる。
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