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バレンタイン編 7

自宅に着き、らしくなく緊張する。 自宅だと言うのにドアノブにかける手が震える。 彼が、涼くんが待っているというのは これまでも何度もあるだろうに 今回はどうしたというのだろう。 本当にらしくない。 意を決してドアを開けるとふわりと温かい香りが鼻腔を擽った。 「ただいま」 するとリビングからパタパタと可愛らしい足音をたてて涼が出てきた。 「おかえりなさい、俊一さん」 中性的な見た目ではあるがれっきとした成人男性である彼。 身長もそれなりにあり、可愛らしいと形容するのはいかがかとは思うが、涼にはそれが似合ってしまう。 しかも白のエプロンを着けた姿では黒沢の目にはさぞ可愛らしく映ることだろう。 「ご飯出来てるけど、先にお風呂にする? それとも……」 可愛らしく近づいてきたかと思えば するりと黒沢の首に腕を回し 「僕にする…?」 妖艶に笑んだ。 流石はプロというべきか 恋人の前ということで、仕事以上に色気が出ている。 少し動けば唇が触れ合いそうな距離で見つめ合う。

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