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202x.8.17(1) 無題

 マーロンは急遽西海岸へ。彼は「言ってなかったっけ?」と肩を竦めていたが、初耳だ。ベッドで身を強張らせ横になっている俺へキスの一つもくれず、やたら慌ただしい様子で出かけていった。  さっさと基地へ戻れば良かったのに、帰営門限ぎりぎりまで彼の家にいた。もしかしたら急に予定が変わったり、仕事が早く片付いて帰ってくるかも、なんて甘い期待を抱きながら。  期待は腐れば毒になるばかりだ。特に身勝手なものは、致命傷になりかねない。独りよがりのまま失望し、今からフラットを出る。怪我をした左腕が痛い。今夜は熱が出るかもしれない。勤務に支障が出ると困る。  書き損じから写しておくことは以上。あとは読むに耐えない。ページの余白一杯に、ひたすら「マーロン」「マーロン・ヒルデブラント」「マーロン大好き」などと支離滅裂な殴り書きだ。破いて捨てておく。

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