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第三章・6

 ぽかん、と緩んだ沙穂の表情だ。  その顔つきに苦笑しながら、真輝は宣言した。 「すでに私たちは、恋人同士なのだから」 「な、何ですって!?」  ちょっと具合の悪いところを介抱しただけで、恋人同士!? 「あまり見ないでくれ。照れるじゃないか」 「いや、あの。ちょっと待ってください!」  しかし、沙穂が何を言っても無駄だった。  優雅にカップを傾け、真輝はそれらを受け流した。  そして。 「沙穂が恥ずかしがる気持ちも、解る。しかし、これは運命なんだ」 「あまり僕を、困らせないでください!」 「さて、お茶が済んだら君の部屋へ行こう」 「真輝さん、聞いてます?」 「聞いているとも。恥ずかしがり屋の沙穂」  全然、聞いてないし!  しかし、源家の真輝氏と言えば、恋多き男性のはず。 (すぐに僕のこと、飽きるよね)  仕方なく、沙穂はコーヒーを飲んだ。  とにかく、パーティーが終わるまでは捕らわれの身だ。  それが済んだら、解放してもらおう。  その程度に腹をくくり、沙穂は抗うことをやめた。  コーヒーを飲み、心を鎮めるだけだった。

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