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第四章・2

「休んでいる暇はないぞ。部屋は、まだある」  こちらのドアを開くと、書斎。  あちらのドアを開くと、バスルーム。  そちらのドアを開くと、オーディオルーム……。 「そしてここが、寝室だ」  中には、やはり美しい絨毯が敷かれており、その上にキングサイズのベッドが据えてあった。  深い光沢のある、木製の重厚なベッドだ。  真っ白い清潔なリネンが、皺ひとつなく引いてある。  だが真輝は、そのシーツに腰かけさっそく皺を作った。 「家具などで気に入らない物があれば、遠慮なく言うように。君の好みに合わせよう」 「そんな。どれもすごく素敵です。全部、気に入りました」 「それはよかった。では、さっそく二人でベッドの固さを調べてみようじゃないか」 「え? 二人で、って……」 「恋人は、身体の相性も大切だからな。解り合うのは、早いほどいい」 (やっぱり、そういう意味!?)  自分の隣をぽんと叩き、真輝はスーツのジャケットを脱いだ。

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